【現役エージェントが語る】書類選考は学歴世界ってホント?
求職者のみなさんは転職活動をしているなかで、自分が希望する条件に合致する求人に応募して選考を受けると思います。
ほとんどの求人の場合、最初の選考は書類選考です。
この書類選考は他の選考フローとは性格が違いますし、一番通過率が低い段階になっています。
そのため、多くの求職者の方は書類選考を苦手としているのですが、求職者のみなさんはどうでしょうか。
私は現在、転職エージェントとして活動していますが、多くの求職者の方の転職支援をするにあたり、一番通過率が低く明確な対策がありません。
書類選考は企業の特徴や書類選考をする担当者の特徴がリアルに反映されますし、その特徴は都度変わりますので、なかなか通過率を平均的に上げるということが難しいと言われています。
今回の記事の目次
今回のテーマは?
今回のテーマは、求職者・転職エージェント共に最も苦戦する書類選考を中心に、選考特徴や背景をご紹介できればと思っています。
そもそも、なぜ企業の選考の中に書類選考があるのでしょうか。
求職者のみなさんのなかに、書類選考という選考フローに疑問を持つ方はいませんか?
かつて転職活動をした私は書類選考について非常に違和感を覚えていました。
転職エージェントとして活動する今では違和感が軽減したとは言え、まだ残っています。
企業のなかには、経験や実績とは直接関係ない学歴を重視する企業もありますし、それだけで判断している企業もあります。
私が今もまだ書類選考という選考フローに違和感を持っている点は、この学歴を重視する企業があるという状況も含みます。
あらかじめお伝えしますが、学歴が高い人材が多くいる企業のレベルが必ず高いとは限りません。
高卒で業績を拡大する企業の経営者は多くいますし、学歴が高い=優秀とはビジネスの世界では言い切れません。
学歴を書類選考に含める企業の背景
ビジネス経験がない新卒採用ならまだしも、経験や実績が重要な転職市場で学歴で判断される状況に納得できない方も多いのではないでしょうか。
企業が書類選考において、学歴を重視する背景はなんでしょうか。
日本は学歴社会です。受験という難関を突破した経験をもつ高学歴の人であれば、転職後に嫌なことがあっても突破しようとする姿勢があるだろうと判断されるのです。
また、受けた教育の年数は基礎的な学力にも関係します。
基本的な計算や語彙はビジネスでも当たり前のように使うため、学歴を重視する企業が多いのです。
書類選考の性格
多くの求職者の方が学歴を選考基準にする背景はある程度ご理解いただけたと思います。
みなさんは一度に何社もの求人に応募して、それぞれの準備がおろそかになり質を落としてしまったことはないでしょうか。
転職決定の生命線とも言える求人を大切にしなくなる、選考に向けての準備がおろそかになるということは死活問題です。
これは企業も同じことが言えて、求人に魅力を感じて応募してくれる求職者は将来企業を支える重要な人材になる可能性があります。
その大切な求職者である応募者を大切にすることなく書類選考の精度を落としてしまっては、企業としては機会損失になります。
企業も律儀に1つの求人について1人ずつ選考を行うということはなく、複数名の応募者を募り同時に選考を行いますので、応募数が多ければ選考の精度に不安を持ちます。
書類選考の精度を上げるために
そこで、企業によってはあらかじめ応募数の上限を設定して書類選考などの精度を担保する仕組みを取っている企業もありますが、それでも大体の場合は30件、40件が普通です。
人事が他の仕事をしているなかで、30件も40件もの書類選考を高い精度で選考できると思いますか?
一つの書類は1枚、2枚ということはなく、大体5~6枚の書類が平均的です。しかも、すべてが活字で白黒のペーパーです。
私もかつては企業に在籍して人事として書類選考を担当したことがあるのですが、書類選考は同じことの繰り返しとなりますのでその数が多ければ飽きてきます。
選考する側も人ですので、同じ業務を継続するとその業務の精度は落ちます。
精度が落ちている状態で選考をしても正確な判断ができないですし、始めと終わりでは明らかに選考の精度にブレが出ます。
すべてが同じに見える書類選考
求職者のみなさんが作成した履歴書や職務経歴書は、求職者の方から見れば魂の結集とも言える大作だと思います。
しかし企業からすると、一つの求人には同じ経験やスキルを持つ求職者からの応募が集中するということになります。
そうすると、企業の人事担当者は、似た履歴書や職務経歴書を40通、50通とチェックすることになります。
書類選考の中盤から後半になると、すべての履歴書や職務経歴書が同じに見えてしまうのです。
私もこの経験がありますが本当に不思議なもので、いくら集中してチェックしていても書類選考の数が増えれば増えるだけすべてが同じに見えます。
そこで精度を担保するために、誰でもすぐに分かる学歴という基準を設けている企業が多いのです。
書類選考の質を担保することを考えれば、理にかなっている選考基準であるとは言えます。
書類選考は落とす選考フロー
企業の選考フローには、
- 書類選考
- 適性検査
- 面接
という3段階か、
- 書類選考
- 面接
という2段階に分かれていることが一般的です。
企業がどのような選考フローを持つのかは、求人を見ればすぐに分かるのですが、最近は2段階方式を採用する企業が多いです。
この選考フローで最も数が多い書類選考が見送りにするための選考で、最も数が少ない後半の面接が通過させるための選考です。
どの企業も最終面接は、その求人の責任を持つ役員や社長が行うことが多く、選考される人数は多くても3人です。
この3人の求職者は基準はすでに満たしているため、誰を採用しても企業としては良いと考えています。
しかし採用枠が決まっている限り、相対的な比較でより良い求職者の方を採用することになっています。
書類選考は最終面接とは真逆
書類選考は最終面接とは真逆の立ち位置になります。
誰が書類選考しても平等になる学歴を選考基準にしてブレがない状態にしているのですが、そういった企業は書類の内容に目を通すことがあまりありません。
見送りにする選考スタイルを取ることで、その後の面接数を軽減することができます。
書類選考の後の選考も見送りを前提にする選考ですが、面接はどのような性格を持っていても時間がかかり生産性が高いとは言えない選考内容です。
そのため、いかに面接回数を減らし採用活動の原価活動費を上げるかを考えています。
書類選考には学歴偏重の傾向がある!
転職市場は、企業が経験を評価する市場であることは変わりませんが、書類選考については学歴でスクリーニングされることがあるのです。
面接では、学歴は一切関係ありません。
企業も経験を持つ求職者のみなさんを学歴で判断したい訳ではないのですが、自社の採用活動の効率化や生産性を考えて、仕方なくそうしている部分があるのです。
それならば、学歴だけを応募書類にすれば良いのでは?
という合理的な考えや意見を持つ方もいると思います。
まさにその通りで、私の転職エージェントが取引する企業に対して同じように改善を提案したことがあるのですが、結局は履歴書や職務経歴書の提出が必須ということでした。
変更が不可となった理由は、『学歴を基準にしていますが、一応・・・』ということで全くロジックのない理由です。
これでは求職者のみなさんも納得がいかないと思いますが、採用する側の企業がこのスタンスを持っているのであれば、今のところ選考のルールにのっとり選考を受ける以外の方法はありません。
書類選考に学歴を重視する企業に対して
いくら選考基準を明確にしたり質を担保したりする目的とはいえ、求職者のみなさんからすると納得できる話ではないと思います。
私もある程度のレベルの大学を卒業しているのですが、個人的に学歴を重視する企業に転職したいとは全く思いません。
学歴はあくまでその人の表面的な特徴の一部分に過ぎないからです。
私の個人的な意見も含みますが、学歴を重視する企業に転職しても良いことはないと思います。
人生を左右する大事な転職において、表面上の要素だけで判断する企業に転職して、良い関係性を持ち貢献しようと思えますか?
転職エージェントを利用されている求職者の方は、どの企業が選考基準に学歴を重視しているか聞いた方が良いです。
キャリアアドバイザーはその企業が学歴を重視するかどうかぐらいは分かっていますので。
書類選考に余計な神経を使わない!
転職活動は、不安も多くストレスを抱えることが多いと思います。
書類選考は、何がその企業の基準に合わなかったのか分かりません。
大体はどの求職者にも通用するような内容で、
- 他の候補者との比較結果
- 当社の選考基準に合致しなかったため
なんて曖昧な理由が並びます。
書類選考の結果で必要以上に落ち込み、転職活動の自信を失う方も大勢います。
裏事情は今紹介した通りですので、書類選考の結果に一喜一憂する必要性は全くありません。
書類選考における見送りは、空気のようなものだと思った方が良いです。
今は強気に転職活動できる!
書類選考に学歴を含めない企業は多くあります。
また、今は求人が豊富にある売り手市場で求職者が有利です。
学歴という表面上の要素を書類選考の基準にしている企業には応募することなく、他の企業に注力した方が時間を有効に使うことができます。
求職者のみなさんは書類選考に対して過敏にならなくて良いと思います。
最後になりますが、求職者のみなさんの転職活動が充実し有意義なものであることを祈りこれで話を終わりにしようと思います。
最後までお読みいただきありがとうとございました。