【現役エージェントが語る】建設業界の転職市場動向は?

建設業界の転職市場動向

オリンピック開催で建設業界はチャンス

求職者のみなさん、こんにちは。

ここ1年、2年でそれまでの状況と対比して想像もできないぐらい現在の転職市場は、売り手市場になっています。

売り手市場とは、求職者のみなさんにとって非常に有利な求人が多い環境のことを言います。

現在のように売り手市場になっている背景には、日本経済の回復傾向が大きな要因になっていますが、もう一つはやはり東京オリンピック誘致です。

私もまだ生まれていませんが、日本はかつて東京オリンピックを開催し、そこから高度経済成長へ転換した歴史があります。

当時と今を対比することは難しく、また、昔のように大きな高度経済成長になるかどうかは分かりませんが、確実に東京オリンピック誘致が今の転職市場の底上げを行っていることは間違いないです。

その証拠に、東京オリンピック誘致に伴い恩恵を受ける可能性が高い業界は、軒並み業績を伸ばしています。

そのなかで顕著な伸長率を見せている業界が建設業界です。

転職市場には多くの求人があり、分類としては業界と職種が軸になります。

求職者のみなさんも自分のこれまでの経験業界や経験職種を基本に考えて、今後のビジネスビジョンを考えて転職活動をされていると思います。

建設業界の求人は転職市場のなかでも、今の時代はかなり多くなっていますので、少しでも建設業界に興味がある方や、なかなか自分の希望の業界に転職することができないという方は非常にチャンスがあると思います。

私は、現在、転職エージェントとして求職者のみなさんの転職支援や企業の採用支援をさせて頂いている立場にありますが、建設業界の求人の動向は、転職エージェント業界のなかでも、かなり評判が高くなっています。

転職エージェントのなかでは、それまで建設業界に特化した部隊はなかったところを、この状況をみて、建設業界に特化した部隊を新規に立ち上げるなどしています。

求職者のみなさんは、このように求職者のみなさんが転職活動をしていると見えない裏の部分もしっかりと把握できれば、自分の転職活動には十分、役立つものと思います。

オリンピックに伴う建設需要の増大について

さて、では、なぜ東京オリンピック誘致の影響で建設業界の業績が拡大しているのでしょうか。

答えは、転職活動には直接的にはあまり関係のないことですが、各競技の会場をオリンピック委員会が規程する基準に当てはめて、増設か改築を行う必要があるからです。

そうすると、当然のように建設業界には増設や改築の依頼が入り、大手ゼネコンを中心に下請け、孫請けという建設業界の企業も恩恵を受けるという構図になります。

建設業界は、これまた当然のように請け負う金額の単位が私も含めた一般消費者には考えられない常識を超えていて、一つ会場を建設するだけで数億、数十億のお金が動きます。

その分、売上が上がるということになりますが、利益率は、どうかと言いますと、ここで、転職市場と関係性が出てきます。

建設業界は最近、機械やコンピューターの進展により、人的なリソースを削減し、デジタルで建設の工程を行う部分もあります。

しかし、そうは言っても、建設については、デジタル化には限界があり、多くの人手が必要になり、そこに求職者のみなさんにとっての転職機会があるという話です。

私自身、建設業界のいくつかのゼネコンと転職エージェントとして取引を行っていますが、そのどの企業も同じことを言います。

売上は上がっても利益率は低い、しかし、人手が不足しているため、採用人数を増やすしかないと。

いかがでしょうか。これが現場採用担当者からの生の声です。

設業界としては、利益率を上げるために、少ない人的リソースで建設を請け負うことができれば、それだけ利益は高まります。

しかし、建設業界の企業が建設するビルや施設は、人が利用するもので、法律により安全配慮義務など多くの規制があります。

それら規制により、万全を期するために多くの人件費を投資し、完全な建設を行う義務を負います。

利益率が低いと言っても、売上高が尋常ではない額ですので、十分な利益を確保することができているため、求職者のみなさんは、転職後に建設業界の企業で給料遅配や倒産などという不遇な状況になることはないと思います。

建設業界とは

建設業界とは、一言で言っても、その範囲は広いです。例えば、求職者のみなさんの自宅近所で、住宅用マンションや一戸建ての建設を行っている現場を一度は見たことがあるかと思います。

このような現場で働く従業員や、その従業員を雇用する○○土木株式会社などいう小さい企業も建設業界に属します。

逆に、建設を依頼する企業から案件を受注し、建設前の設計や建設工程などすべての業務を請け負うゼネコンと呼ばれる企業も建設業界に属します。

広義では、設計、建設する事業を行う企業はすべて建設業界に分類されると転職エージェントではなっています。

建設業界の転職市場については、基本的に小規模の企業、つまり、実際に現場で作業を行う従業員を雇用する企業の求人はあまりなく、大手ゼネコンや大手下請け企業の求人が多いということをご認識頂ければと思います。

もし、今、この記事を読んで頂いている求職者の方のなかで、自分は現場作業をやりたいんだという方がいるのであれば、転職エージェントよりも地元の求人情報誌やハローワークを利用した方が良いです。

その方が、多く求人を拾うことが可能で、自分の転職活動の生産性を引き上げることもできると思うからです。

また、小規模の現場を請け負う小規模の企業は、土方やとび職とも呼ばれています。

ある意味では、職人という言い方もしますが、このような職種を企業内に持っている企業は、従業員数名程度で、小さく経営している企業が多いです。

大手ゼネコンは、これらの小さい企業を下請け企業と位置づけ、大手ゼネコンから下請け企業が現場作業を請け負うという流れが建設業界にはあります。

ですので、建設業界の特徴の一つに、結構強い力関係が発生しています。

もう少し分かりやすく説明すると、高校や大学の体育会系の先輩と後輩をイメージして頂ければと思います。

先輩の言うことは絶対で、後輩はその言うことを必ず従うという文化と同じように、建設業界では、大手の企業の指示や命令については、現場作業を請け負う小さな企業は絶対に逆らえないということもあります。

そうしなければ、建設業界では末端とも言える小さな企業は、仕事を請け負う先がなく、事業を継続することができないのです。

また、建設業界は、横の繋がりが強く、これまで取引してきた業者以外は、入札に参加できないなど、縛りが強く、小さな建設業界の企業はそこに参入することはできません。

土木系と建築系の違い。設計と施工の違い

続いて建設業界の少しディテールの話になりますが、土木系と建築系の違い、設計と施行の違いについて軽く触れておきたいと思います。

建設業界には、他の業界にある職種もありますし、他の業界にはない職種や業務内容が存在します。

土木系と建築系はどちらも建設業界特有のものですが、一見、同じような意味合いに聞こえるかもしれません。

しかし、この2つは違いがあります。

土木系とは、現場作業員が行う業務のことを言い、求職者のみなさんに分かりやすく説明すると、求職者のみなさんの自宅近所で、小さな建設業務を行っているものは基本的に土木系になります。

先程、軽く触れたとび職や土方という職種はまさに土木系の仕事です。言葉の通り、どちらかと言えば、土にまみれるような仕事を土木と言います。

一方、建築系については、土木系と同じようにブルーカラーに分類されますが、土木系に比べると、そこまで土まみれになった業務を行うというよりも、土木作業員が下地を作った現場で、その後の建設を行うことが主な仕事になります。

若者のなかでガテン系という言葉があり、このガテン系は、建築系ではないです。ガテン系は、土木系のこと指します。また、建築系は、ゼネコンや大手下請け企業に良く利用される言葉になっています。

次に、設計と施行です。

設計については、まさに建設する前の建物のデザインやレイアウト、工事スケジュールのことを指し、施行は設計を行った上で、実際にその建設業務を行うことを言います。

転職活動において、設計とはホワイトカラーでデスクに座りデスクワークを行う職種になり、施行とは、ブルーカラーで現場に出て仕事をする職種になります。

転職エージェントには、設計に関わる職種については求人がありますが、施行を行う職種については、そこまで多くはありません。施行業務については、転職サイトや求人情報誌の方が相性は良いと私は思います。

どういった企業があるか

建設業界の企業は、非常に多くありますが、具体的にどのような企業があるのかここでご紹介したいと思います。

恐らく、求職者のみなさんのなかで、ゼネコンとは、どんな企業を言うのかというところを把握し切れていない方もいると思いますので、このあたりを中心にご紹介したいと思います。

ゼネコンとは、工事発注企業から案件を受注し、その案件の元締めとして、事業を請け負い、その案件の全責任を負う業者のこと言います。

ゼネコンは、その案件をゼネコン1社で完結することはせず、ゼネコンが取引している下請負、孫請負の業者に建設業務の部分部分を発注します。

この説明から分かるように、建設業界の中心はゼネコンになるのですが、ゼネコンにはスーパーゼネコンと呼ばれる企業があります。

その企業群が、鹿島建設、清水建設、大成建設、竹中工務店、大林組です。

この5社はゼネコンのなかでも、売上や企業規模が他のゼネコンよりも頭ひとつ飛びぬけています。

恐らく求職者のみなさんのなかでも、プライベートでこの5社の企業名を耳にしたり目にしたりしたことがあるのではないかと思います。

この他、ハウスメーカーも建設業界に属します。

フィギュアスケートのスポンサーでお馴染みの木下工務店は、ハウスメーカーのなかでもかなり規模の大きい企業で、このほか、最近、成長している企業が大東建託です。

また、勘違いされやすいのですが、不動産業界の賃貸事業を行う企業は、建設業界ではありません。

木下工務店は、事業のなかに賃貸事業もありますが、戸建て建築の事業も行っているため、不動産業界の企業でもあり、建設業界の企業でもあります。

不動産業界と建設業界は、ニアイコール、ノットイコールの関係になりますので、求職者のみなさんは、転職活動をする上で、この2つの業界の違いをしっかり理解する必要があります。

私の転職エージェントとしての経験で、本人は建設業界を希望しているにも関わらず、不動産業界も建設業界の1つだと大きな勘違いをしている求職者の方がいました。

どういった職種・資格があるのか

建設業界の職種について、次にご紹介したいと思います。

建設業界は、現場仕事が直接、建設に従事する職種になります。

ただ他の業界や企業と同じように企業として人事や総務、経理や財務、情報システムなどの職種も存在します。

しかし、この職種で転職するとなれば、なかなか狭き門です。

建設業界自体はオリンピック誘致の影響により、採用活動を活発に行っています。

しかしながら、労働集約型のビジネスモデルであるため、非常に高い人件費が必要で、大きな利益を得てはいると言っても、利益率は低いです。

そこで、直接利益を生む職種ではない管理部門系の職種については、必要最低限の人員配置しか視野に入れておらず、採用枠の大半を現場で仕事をする職種に振り切っています。

私の転職エージェントには、建設業界の求人が多数ありますが、その求人のデータをみると、今、私がご紹介したような形になっています。

絶対に建設業界の管理部門系の職種で転職することはできないかと言われると、そのようなことはないのですが、建設業界の管理部門系の職種に限定してしまうと、転職活動が長期化する可能性もあります。

また、このほかでも、建設業界は、組織上、現場を知らなければ、管理部門系の職種で対応ができないという文化があります。

管理部門系の職種に在籍している労働者の方々は、大体は、ある程度、現場を経験し、社内異動で管理部門系の職種に就いていることが多いです。

そのため、建設業界以外の業界で管理部門系の職種を経験し、建設業界の管理部門系の職種で転職しようとしても、難しいと言われています。

建設業界特有の職種は、やはり設計と施行関係の職種です。

設計の場合は、一定の資格がなければ、その設計に従事できないようなレベルが高い職種もありますし、施行関係の職種については、建設施行、設備施行、土木施行と大きく3に分類されます。

いずれにしても、建設業界特有の職種で、なかには資格が必要な職種もあります。

また、この他で○○技工士などという職種もありますが、これは完全に資格職種です。

転職活動をするにあたり、資格保有がなければ、転職することはできませんし、応募する条件にも満たしません。

建設業界の転職市場・・・盛り上がっているか

建設業界の転職市場は、冒頭でご紹介したように東京オリンピック誘致と日本経済の回復傾向により、非常に大きな盛り上がりを見せています。

しかも、この業界には建設業界=激務、建設業界=汚れるというあまり良くないイメージがありますよね。

しかも、離職率が高く、また、縦割りの文化、体育会系の文化、男尊女卑の文化があり、慢性的な人材不足になっているので、かなり求人が活発に動いています。

今、ご紹介した建設業界の文化のなかで、男尊女卑の文化と、少し尖った表現をしていますが、これは、実際にあり得ることで、女性の求職者の方は注意が必要です。

狭き門とも言える建設業界の管理部門系の職種で転職をしたとしても、建設業界は男性社会であり、女性の意見や立場はあまり尊重されない風潮があります。

私の転職エージェントで取引する建設業界の企業を例取ると、その企業に在籍する従業員の男女比は、9対1で男性の割合が圧倒的に多くなっています。

この割合と建設業界の古くから男性社会という歴史があり、女性は結構、働きにくいという話を採用担当者が言っています。

最近、ワークライフバランスという働く女性を支援したり、育児との両立を図る動きが日本労働社会にありますが、建設業界は古い体質、体制の業界であるため、このような内容に関しては、かなり疎く、かなり遅れています。

また、体育会系の企業文化=パワハラというイメージもあるかと思いますが、まさに、建設業界はその通りで、上司や先輩からの厳しい叱責は当たり前ですし、飲み会で、お酒を飲まさせるような文化もいまだに残っています。

求職者のみなさんのなかで、このような点について、あまり良いとは思っていないのであれば、建設業界は確かに求人が多く、転職しやすい業界ですが、転職後のことを考えると、長く仕事を続けることが難しいと思います。

求人数の推移

建設業界の求人の推移ですが、もともと、建設業界の求人は離職率が高いため、多くありました。

ここ最近になって、更にその求人数が多くなっています。

求人数とは転職エージェントの求人数だけではなく、転職サイトや求人情報誌、ハローワークも含んでのことです。

ここがポイントになるのですが、転職エージェント自体については、これら複数の転職方法全体を考えると、際立って増えているということはないのです。

転職エージェントに求人を依頼する建設業界の企業は、やはり、採用コストを十分に持っているゼネコンや大手下請け、孫請けの企業になりますので、ある程度、限定されます。

建設業界の求人が非常に増えている要因は、転職サイトや求人情報誌、ハローワークとの相性が良い、小さい現場作業を仕事場にする企業の職種になります。

私の転職エージェントには、小さい現場仕事が嫌で、その立場をもっと上げたい、現場仕事を請け負う小さい企業ではなく、その企業を取りまとめる側で仕事をしたいとする求職者の方が多いです。

つまり、建設業界には、縦社会の文化があり、その縦社会の文化を嫌い、もっと高い立場で仕事をしたいとする方が多いということです。

建設業界を経験しているとはいえ、小さい現場仕事とゼネコンが行う事業の業務内容は業務の質や難易度がまるで違います。

そのため、小さな現場仕事をしてきた求職者の方は、ゼネコンや大手の建設業界の企業になかなか転職することができない状況にあります。

そうなると、仕方なく出戻りということで、求人情報誌やハローワークなどを使って小さな企業へ転職するという結果になります。

求人の推移の大きな要因は、この手の求職者の方が多く、この手の求人が多いからです。

採用担当者の姿勢に変化はあるか

企業視点で採用する側の直接の担当者である建設業界の人事担当者のスタンスに変化はあるのかという点について、触れたいと思います。

売り手市場になると、どの企業も採用活動に苦戦します。

どの企業も採用フローや採用基準を見直し、少しでも早く良い人材を採用するために対応しようとします。

しかし、建設業界では、そのようなことはないと思って良いです。

転職エージェントを利用しない建設業界の小さな企業については、そもそもとして選考基準が低く、選考回数も少ないため、内定確度は高いです。

転職エージェントを利用する大手の建設業界の企業は、苦戦することは必至としても、選考基準や選考フローを見直す気はさらさらないようです。

面接対応も、私は転職エージェントとして同席した経験があるのですが、今も昔も変わらずで、かなり横柄なイメージを受けました。

殿様商売とはこのことで、慢性的な人材不足とは現場仕事を請け負う小さな企業であり、大手の建設業界の企業は、そのようなことはなく、『採用してやる』ぐらいのスタンスを持っています。

建設業界の求人内容

建設業界の求人内容は、建設業界だからということもありますが、基本的には、他の業界や企業と同じように職種軸で展開するため、そこまで大きな特徴はありません。

ただ、建設業界を経験した方は優遇されるという特徴は昔からあります。

年収については、中の中という程度で、高い年収提示はあまり考えにくいですし、逆に一般よりも低い年収提示もないと思います。

建設業界は、利益は十分ありますので、その背景が転職時の求職者の方の条件に考慮されているようです。

福利厚生面についても、特別、変わったところはなく、社会保険完備はもちろんですが、法定外の福利厚生にはあまり積極的な姿勢は持っていません。

どういった企業からの求職があるか

どのような企業からの求人があるのかについては、これは、一概に言い切ることはできません。

ただ、建設業界の大手の企業以外は、欠員補充であることが多く、その場合、求職者のみなさんは、自分が転職した企業のそのポジションで、前任者が辞めているということをご理解ください。

人は、何か不満や不安がなければ転職しようと思わないことが多いです。

ということは、何かしらその企業のそのポジションには問題があるのではないか?と疑った方が良いです。

大手の建設業界の企業は、増員であることも想定できることです。

どういった職種の求職があるか

職種は、先述でお伝えした通りになりますが、営業職ももちろん建設業界にあります。

主な業務内容は、案件を受注するために新規営業を行ったり、競合他社とのコンペになることが多いのですが、その場合、コンペ資料の作成などもあります。

建設業界では、営業は神様とされる文化もありますので、ある程度の実績を残すことで、縦社会、体育会系の文化の上のポジションで仕事をすることができます。

ただ、そこに至るまではかなり仕事がしにくい状況かと思いますので、いかにその環境に耐えるかがポイントです。

今回は、建設業界の転職市場について、ご紹介してきましたが、いかがでしょうか。求職者のみなさんの建設業界への考え方、転職活動の情報になればと思います。

最後までお読み頂きありがとうございました。

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