【現役エージェントが語る】Iターン転職、あまりよくないかも?

Iターン転職とは?

求職者のみなさん、こんにちは。

近年、日本経済、特に労働関係において、地方創生ということで政府が地方に対して手厚い支援をしています。

また、地方創生の一環として、東名阪などの都心部にある企業が、本社を地方へ移転する際に、各種、補助金や助成金が支給される仕組みもあります。

都心部に本社を構える企業のなかには、地方創生とは別の切り口により、補助金や助成金も支給されるため、地方へ移転する企業が増えています。

もちろん、地方へ移転する都心部の企業の割合は、まだ、それほど高くはないのですが、今後、地方創生の一環として、地方へ移転する企業が増えると言われています。

求職者のみなさんは、転職活動を経て、必ず企業へ転職する訳です。

そのため、企業の動向をしっかり把握することが転職活動の情報の一つとなります。

私は、現在、転職エージェントとして求職者のみなさんの転職支援と企業の中途採用支援をさせて頂いている立場にありますが、求職者のみなさんのなかには、企業の地方移転と同じく地方へ転職を希望する方もいます。

今回の記事のテーマはIターンに関することになりますが、そもそもとしてIターンとは、どのような意味でしょうか。

もしかすると、求職者のみなさんのなかには、IターンとUターン、またはJターンを混同されている方も多いのかな?と思いますので、このあたりの解説から今回の話を起こしていこうと思います。

まず、Uターンですが、この意味は、地方出身者の方が、地元に戻るということを意味します。

例えば、北海道で生まれ育ち、大学入学とともに東京へ上京し、そのまま東京で就職した方が、数年後に北海道に戻り、北海道の企業に転職するというケースです。

余談ですが、東北地方出身の求職者の方は、このUターンを利用する傾向が強いと転職エージェントである私の経験上は感じます。

次に、Iターンです。Iターンとは、東名阪などの都心部で生まれ育った方が、就職や転職を機に地方に移り住み、定住するという意味です。

Iターンも最近は傾向として増えていて、特に40代以降の求職者の方は、都心部の雑踏で疲れを感じ、40代以降は、スローライフを楽しみたいということで、Iターン転職を希望する方が多いです。

最後にJターンです。これは、地方出身の方が、一旦は、都心部に住み、その後、違う地方へ移住するということを意味します。

転職市場において、この3つの用語は、最近、少しずつ出回りだしていますので、混同しないようにしましょう。

首都圏→地方

今回は、Iターン転職という点に特化したいと思いますので、首都圏から地方へ転職する場合の情報をご紹介したいと思います。

Iターンのなかには、首都圏だけを都心部と呼ぶ訳ではなく、例えば、東北の仙台から福島県へ転職する場合もIターンの一種になります。

Iターンの定義は、先述でご紹介した通り、首都圏だけではなく、とにかく都心部から地方へということです。

今回、このように広い定義でお話すると混乱を招く恐れがありますので、また、転職市場の中心は、首都圏になりますので、首都圏から地方という狭義で話を進めていきたいと思いますので、ご了承のほど、お願い申し上げます。

Iターン転職の方法

Iターン転職は、最近、転職エージェントのなかでも、力を入れている場合も増えているように、一般的に知名度が上がっているものです。

Iターン転職に関係なく、転職市場においては、転職方法として求職者のみなさんは、転職エージェント、転職サイト、求人情報誌、ハローワークと大きく4つの方法があります。

このいずれにおいても、Iターンの情報はキャッチアップすることができますが、転職エージェントである私としてIターン手職と相性が良い順にご紹介するのであれば、下記の通りとなります。

転職サイト・転職エージェント・ハローワーク・求人情報誌です。

この4つの転職方法は、それぞれに特徴を打ち出し、求職者のみなさんの持つ希望条件や個人事情を鑑みて選択することで、効果的な転職活動を行うことができると思います。

とは言え、Iターン転職とは、求職者のみなさんにとっては、かなり重い決断になるため、Iターンと親和性が高い転職方法を優先的に利用した方が多くの情報を入手することもできますので、良いと思います。

また、Iターンにおける求人は、通常の転職活動よりも、特殊です。

なぜかと言いますと、首都圏に現在、住んでいて、首都圏から地方へ転職する訳ですので、転職先は、100%、地方になります。

つまり、情報の範囲としては、首都圏の転職事情だけでは不十分で、もっと言いますと、首都圏の転職事情よりも地方の転職事情を多く知る必要があります。

求職者のみなさんは、首都圏に住みながら地方の転職市場の動向などを現地にわざわざ何度も出向いて行うことは現実的に可能でしょうか。

可能であれば、それが一番、理想ですが、現実的には費用面、時間的な部分も含めて難しいでしょう。

そのため、首都圏にいながら、地方の転職市場の動向をしっかり、確実にキャッチアップするためには、よりIターン転職と親和性が高い転職方法を選択しなければなりません。

転職サイトの活用

今の時代、転職という枠組みだけではなく、その他においてもインターネットはライフラインの一つになっています。

そのため、求職者のみなさんの多くは、自分に合った転職エージェントをインターネットで検索することも多いでしょうし、また、転職サイトにおいても同じです。

転職エージェントは、インターネット上で完結するいうよりも、人ビジネスですから対面で完結する要素を持ちます。

一方、転職サイトの場合は、インターネット上で、面接以外のすべてを完結することが可能な転職方法です。

そのため、転職サイトでは、企業が掲載する求人を求職者のみなさんは、世界のどこにいても、インターネットの環境さえあれば、閲覧、入手することが可能で、応募することもできます。

このことから、求職者のみなさんは、首都圏にいながら地方の企業の求人を検索することができますし、応募することもできます。

転職市場の動向を指し示す重要な要素は求人です。

その地方にどれぐらいの求人があるのか、また、自分が希望する業界や職種、企業の社風という要素がどれぐらいあるのかを転職サイトから一気に知ることができます。

転職市場は、求人ありきの世界で、求人が少なければ、その分、求職者のみなさんは、転職活動において、不利な状況になり、転職に苦戦することが可能性としてあります。

求職者のみなさんが希望する地方に求人が多ければ、その分、その地方は売り手市場ということになり、転職しやすい状況にあるということです。

最近の転職サイトの動向を見ると、単純に求人を掲載するだけではなく、転職に関するあらゆる情報を同時に掲載し、転職ノウハウを求職者のみなさんに教示する機能もあります。

また、転職サイトによっては、Iターン特集ということで、Iターンに特化した特設サイトを持っている転職サイトもあります。

その特設サイトで、地方の情報を転職活動に支障がない程度の情報を得ることが可能になっているのです。

このような背景から、転職エージェントである私は、転職サイトを利用した方が、Iターンを希望する求職者のみなさんにとっては、最も生産性が高い転職活動ができると考えているのです。

転職サイトとして、私がおススメする媒体は、マイナビ転職です。マイナビ転職は、マイナビエージェントという転職エージェントも同時に運営していて、どちらか一方を利用することで、同時登録することができます。

転職エージェントの活用

転職サイトとIターンの親和性の高さを先程、ご紹介してきましたが、今の日本の転職市場において、転職活動の中心的な方法は、転職エージェントです。

求人の豊富さ、企業情報の取得、転職支援の範囲、転職活動の効率性、そのすべてをとっても、転職サイトよりも転職エージェントの方が求職者のみなさんにとっては有効な方法です。

ただ、転職エージェントの弱点は、対面式であることです。また、大手の転職エージェントは数社しかないため、全国展開している数もそれに伴い少ないです。

また、大手の転職エージェントの場合、求職者のみなさんは、首都圏にいながら、地方の拠点が持つ求人を紹介してもらうことは可能ですが、その求人の数は、首都圏の数に比べると明らかに少ないです。

今、存在する転職エージェントの多くは中小規模の転職エージェントであるため、首都圏に拠点を持ち、地方まで事業領域を広げることはあまりありません。

そうなると、転職サイトに比べると求人の数は圧倒的に少なく、その分、地方の転職市場の動向を知る機会は少なくなるということになります。

求職者のみなさんの転職活動における生命線は、何より求人です。

求職者のみなさんの手元に入ってくる求人の数が少ないのであれば、確率論として転職確度は下がります。

地方を地場にした転職エージェントはありますが、求職者のみなさんが地方への転職を希望するからと言って、登録面談のために、地方の転職エージェントへ出向くことは難しいでしょう。

このような意味で、転職サイトに比べると転職エージェントを利用してIターン転職することは、困難だと言えます。

ハローワークの活用

続いて、ハローワークです。ハローワークは民間の団体ではなく、国が管理する公的機関です。

転職サイトや転職エージェントに比べると、転職のプロとしての情報の質が圧倒的に下がります。

最近、ハローワークはIターンやUターンの転職に力を入れており、インターネット上で求人を公開することもありますが、その数は、転職サイトや転職エージェントに比べると劣ります。

利用することは問題ないと思いますが、これらの理由からメインの転職方法にすることは、私は控えた方が良いと考えています。

その他として、各自治体の転職支援プログラムの利用ですが、これは、規模があまり大きくないですし、私の友人が自治体の支援を受けたことがありますが、『かなり使えない』ということです。

Iターン転職の進め方

この章では、Iターン転職の具体的な進め方について、ご紹介したいと思います。

私の転職エージェントは、首都圏に拠点を置く小規模の転職エージェントですが、地方創生の意味で、地方の求人も小規模の転職エージェントにしては多く扱っています。

そのため、Iターン、Uターンの転職希望の求職者方の転職支援をしたことがあるので、その経験を踏まえて、求職者の方の動きをご紹介できればと思います。

Iターンを希望する求職者の方の大きな悩みは、いくつかありますが、面接の方法、住まいの決定が大きな要素になっています。

首都圏から首都圏に転職する場合は、ほとんどの求職者の方は、今の住まいから移転することなく、そのままになります。

しかし、Iターン転職とは、働く企業はもちろんのこと、住まいまで丸ごと変えることになりますので、その両面で工夫や検討が必要になります。

私が転職支援したIターン転職者の全員が、この点については、かなり苦戦していた記憶がありますので、Iターンを希望する求職者のみなさんは、是非、この記事を読んで頂き、ある程度の想定をして頂いた方が良いです。

そうでなければ、途中で、Iターン転職をやめるということにもなります。

何を優先して活動するか

まず、Iターン転職において、何を優先すべきか?というところから、ご紹介したいと思います。

結論から先にお伝えすると、転職を先に決めてしまった方が良いです。

なぜかと言いますと、仮に住まいを先に決めてしまうと、当然、首都圏で仕事をしている現職に在籍することは現実的に不可能です。

そうなると、定期的な安定収入がありません。

もちろん、ある程度の期間、無職であっても、十分やっていけるという貯蓄がある求職者の方であれば、それもありなのでしょうが、転職活動のために、貯蓄を食いつぶすということは、オススメしません。

転職活動の基本は、現職に在籍しながら転職活動を行い、転職が決まってから現職を退職することです。

この基本的な考え方は、Iターン転職においても同様です。

転職先さえ先に決めておくと、その後は、家探しです。当然、自分が住む家ですので、現地に足を運んで探すことをオススメしますが、家探しは、転職による企業探しよりも、相当、簡単です。

時期によっては、相当とは言えない時期もありますが、それでも、企業探しである転職活動よりも断然、楽勝のことです。

Iターン転職において、外せない要素ですので、家探しの時期についてもご紹介したいと思いますが、時期として避けるべき時期は、12月~3月です。

このシーズンは、企業の異動や転勤が多く、また、学生の入学シーズンに入りますので、物件数が少なくなり、また、家賃相場も上がります。

この点から考えると、Iターン転職する転職活動の時期も考えた方が良いかもしれません。

ただ、家探しをメインに考えることは、Iターンの本質から外れますので、控えた方が良いでしょう。

是非、企業探しを優先してIターン転職の活動をしてください。

家が決まっても、転職先が決まらないということは、本末転倒です。

面接はどこでやるの? 交通費は?

Iターンを希望する求職者の方から必ず受ける質問があります。

それが、面接会場の場所です。

通常、面接会場は、求人の企業の本社や転職後に職場となる拠点になります。

この点を踏まえると、Iターン転職における、企業の面接会場は、おのずとご理解頂けるものかと思います。

そうです。

現地が大半です。

転職エージェントである私の知りえる範囲でのデータとなりますが、約8割ぐらいの企業は、現地での面接になります。

これを聞いて、がっかりする求職者の方も多いでしょうし、『交通費、宿泊費・・・結構、高いなぁ。』と思う方も多いでしょう。

しかし、ご安心ください・・・大半の方は(汗)

Iターンを受け入れる企業には、Iターン転職者のために、面接における交通費の支給を行う企業が多いです。

企業によっては、面接時間の都合上、宿泊費を支給する企業もあるぐらいです。

冒頭で、国が地方創生の支援のために補助金や助成金を企業に支給しているとお伝えしたかと思いますが、首都圏から地方へ移転する企業だけではなく、地方の企業へのIターン転職者用に支給されます。

その支給費用を活用して、地方の企業は、求職者のみなさんに面接のための交通費を支給しています。

大半の求職者の方は・・・とご紹介しましたが、企業によっては、一切、Iターン転職の求職者の方を考慮することなく、すべて自腹というケースもあります・・・残念ながら。

田舎の「厳しさ」

さて、首都圏で生まれ育ち、首都圏に就職した方には田舎の良さ悪さは、あまり生活感の意味では分からないかと思います。

私が転職エージェントとしてIターン転職を支援した求職者の方の転職後の話も踏まえて、Iターンのデメリットについてご紹介したいと思います。

そもそもとして、Iターンを希望する求職者のみなさんは、なぜ、Iターンを希望するのでしょうか。

その理由は、それぞれあるかと思いますが、私が転職エージェントとして求職者の方から聞いた情報は、地方の方が、人が優しく住みやすく、また、仕事だけの生活ではない、『イメージ』だからです。

私自身も地方出身者で、確かに首都圏に比べると住みやすいことは確かです。人込みも少なく、人は優しい・・・。

しかし、転職して、その地方で仕事をしながら生活をするとなれば、話は別です。

Iターン転職を希望される求職者のみなさんに先にお伝えしておきたいと思いますが、Iターン転職は、それほど、甘い、求職者のみなさんがイメージするような生活環境ではないです。

なぜかと言いますと、生活するためには、お金が必要です。Iターン転職を希望する求職者のみなさんも、当然、お金を得るために、Iターン転職であっても、転職して企業に在籍することを希望するのだと思います。

まずもって、首都圏と地方の大きな違いは、賃金の格差です。

首都圏で仕事をしている場合、ある程度の給与は保証されます。首都圏の場合、最低賃金の額が地方よりも高いからです。

その分、物価も高いということは言えますが、地方の場合、その最低賃金の額は、首都圏よりも、はるかに安いです。

物価ももちろん、それなりに安いのですが、その他の食料品、自動車などの価格は、首都圏と変わりません。

つまり、その意味では、収入面ではかなり下がりますが、物価以外の額は、首都圏と変わらにということです。
首都圏で働いていた場合は、購入できたものを購入できないという苦労が生じます。

私が転職支援したIターン転職者は、この点について、結構、苦戦しているようです。

求人はどれくらいあるのか

では、求人という観点で見ていきたいと思いますが、求人の数は、当然のことながら首都圏よりも明らかに少ないです。

少ないという意味は、Iターン転職を希望する求職者の方が希望する条件に合致する求人が少ないということが一番だと思います。

これは、やはり、金銭的な価値観が大きく影響しています。

また、次に言えることは、求人種類です。

地方の求人の種類を見ると、営業系、販売系の職種はそれなりに多くありますが、事務系の職種、企画系の職種は、ほぼありません。

そのため、Iターン転職を希望する求職者の方は、転職先の職種が限定され、かつ、偏りがあります。

それでも地方で転職することは譲れないということで、職種を妥協してIターン転職を優先しています。

Iターン転職を希望する求職者の方は、覚悟が絶対に必要で、単なる地方暮らしに対する憧れだけでは、長続きしませんし、Iターン転職後に失敗することも想定できることです。

ちなみに、憧れや軽い考えでIターン転職した求職者の方で、数カ月で、その企業を退職して、結局、首都圏に戻ってきたという方を数名知っています。

傾向的に、このような方々は、労働意欲が少なく、地方であれば、それなりの労働でそれなりの給料で、のんびり暮らせると甘い考えを持っています。

この考えで、Iターン転職を希望するのであれば、絶対やめましょう!!!

見知らぬ土地での暮らしは大変

Uターンであれば、地方のことをある程度、知っているため良いと思いますが、Iターン転職は、求職者の方が見知らぬ土地に住み、働くということです。

知っていると知っていないでは大きな違いがあります。

人は優しいとは言っても、地方は閉鎖的な地域もあり、それは、下調べをしっかりしなければ、冷たいと感じてしまうこともあるでしょう。

また、地方は、地方独特の文化や習慣が多く、その文化や習慣に慣れなければなりません。

言葉の問題もそうです。

方言や訛りは地方の話ことばとしては普通のことですが、その地方を経験することがはじめての方は、理解することも難しいと思います。

また、Uターンの場合は、コネや人脈で転職することができる可能性もありますが、Uターンは、そのようなコネ転職は厳しいと考えておいた方が良いです。

私がIターン転職を支援した方で、自分が思う以上に仕事が大変と言っていたことを記憶しているのですが、労働面において、首都圏に比べると楽という安易な考えは捨てましょう。

労働時間は確かに短いですが、質の面では、当然、成果を求められますし、人間関係も大事です。『俺は首都圏からきた』という感じを出してしまうと、嫌われる対象になります。

また、Iターン転職を心から希望した求職者の方で、このような最悪のオチを持つ方もいました。

その方は、無事にIターン転職し、地方移住後も、その地方の生活に慣れ、企業でも十分、活躍し、自分が希望する生活環境を手に入れました。

しかし、転職した企業は、首都圏に本社を置く、地方拠点でした。

職種は営業で、転勤で、結局、3年ぐらいで首都圏に戻ってくるというオチです・・・笑

Iターン転職を希望する求職者の方は、その地方の地場の企業に転職しなければ、転勤により、その土地を離れ、最悪の場合、首都圏に出戻りということも想定できます。

最後になりますが、求職者のみなさんの転職活動が有意義なものであり、最高の転職ができることを心から祈っています。

今回のテーマである、『実はあまりよくないIターン転職?』は、ここで話を終わりにしたいと思います。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

サブコンテンツ

絶対に外せない転職エージェント3社

    ランスタッド

このページの先頭へ