【現役エージェントが語る】財務への転職は明るい!
求職者のみなさんは『これなら将来安定!』と言われている職種があることをご存じでしょうか?
安定といってもいろいろな要素がありますが、今回は以下のように定義します。
「将来安定」の具体的な条件
- 転職後の労働条件が良い
- どの業界、企業でも中心的なポジションでつぶしが利く
労働条件が良い職種や、つぶしが利く職種は管理部門の職種を中心に多くありますが、この二つの要素に最も近い職種は財務なのです。
転職の難しい財務への転職
私は、人事として企業に十数年在籍した経験があり、現在は転職エージェントとして求職者のみなさんの転職支援をさせていただいています。
他の企業の経営者や人事担当、他の転職エージェントから情報を収集するなかで、財務という職種は非常に安定性があると感じているのです。
転職エージェントの視点や環境の変化を、求職者の視点、転職市場の視点、企業の視点から、いろいろな情報をご提供できればと思っています。
企業に置ける立ち位置
まずは、企業における立ち位置から話をしていこうと思います。
財務はどの企業でも中心的なポジションで、将来的にその企業の幹部候補として出世できる可能性があります。
企業のなかで「お金」というのは経営を継続する上で絶対に外せない部分だからです。
キャッシュフローは大きければ大きいだけ健全な経営となりますし、キャッシュは無限ではなく有限です。
有限となるキャッシュをいかに有効活用し、増やすのかは非常に重要なことです。
経理よりも上流の部門
お金に関わる職種としては、財務の他にも経理があります。
しかし、どちらかと言えば経理は「キャッシュの管理」が仕事で、「キャッシュを増やす、工面する」仕事とは異なります。
もちろん、キャッシュを適正に管理することは重要ですが、財務は経理の仕事内容も包括しています。
経理のキャリアの先に財務があるのです。
現在経理をしている方は、将来的には財務をやりたいと考えている方が多いのではないでしょうか。
企業経営に貢献する度合いが高いため、経理よりも財務上がりの方がほぼ確実に幹部への出世コースに乗ることができるのです。
仕事内容
簡単にいうと、「お金を増やすこと」が財務の仕事です。
上場には財務が深く絡んでいます。
上場して株主が増えると、企業としてはそれだけ資金が増えることになります。
これを目的として企業は上場しようとするのです。
資金繰りをよくするためで、資金を増やすためとも言えます。
「いつ、どのように上場することが企業のキャッシュを最も増やすことになるのか」について中心的な立場で担当します。
株式公開で資金を増やせない非上場の企業は、先回りで銀行から資金調達をするなど施策を練ったり、具体的なアクションを起こしたりもします。
こういった「資金繰り」という意味で、特に上場請負人は非上場の企業からのニーズが非常に強いです。
ビジネスの世界で揺るぎない地位を確立した財務は『上場請負人』と呼ばれます。
やはり、どの企業も少なからず上場を目指していますので、優秀な上場請負人がいれば上場できる可能性が高いと言えます。
私の知人に『上場請負人』と呼ばれる知人がいますが、やはり、優秀です。
資金繰りやお金に関する知識が尋常ではありません。
『上場請負人』と言われるほどの方はかなり少数で、上場を目指しているベンチャー企業の経営には特に必要とされています。
経験を持つ求職者の方は、『上場請負人』になれるチャンスがあります。
労働条件
具体的な労働条件について紹介します。
財務を急募している企業では今からご紹介する労働条件を上回る場合もあります。
既に財務の経験がある方は、将来進む高いレイヤーについて参考にしてください。
まず、財務にはレイヤー(階層)が大きく二つあります。
管理職未満
具体的には一般、主任、係長などのレイヤーです。
これからスペシャリストを目指す予備軍のような立場になります。
そのため、他の職種と比べると頭一つ抜けていることが多いです。
もし新卒で財務のポジションに配属された場合、その人材は相当優秀で、将来の幹部候補として考えられています。
確実に企業からは将来の幹部として考えられているので、将来は出世することが約束されているようなものです。
管理職
管理職になれば、どの職種でも各種手当が付きますので条件はそれまでよりも良くなります。
そのなかでも、財務の扱いは別格と言って良いでしょう。
例えば、経営会議での発言権は直接部門が強く、間接部門は意見や主張が通らないことが多いです。
しかし、財務の管理職は唯一と言って良いほど強い発言力を持ちます。
経営者も資金繰りのプロではないため、賛同を得られることが多く、企業内において絶対的な地位を確立することができるのです。
私は、サラリーマン時代に財務系従業員の給料を調整していた経験がありますが、抜群の昇給率を見て驚きましたね。
財務の管理職ともなれば、年収1000万は当たり前です。
もし、財務の仕事をしていて1000万を下回る方がいれば、市場価値の検索という意味でも転職活動をするのが良いでしょう。
また未上場企業においても財務職は魅力的なポジションです。
在籍する企業が上場するということは、在籍している従業員にも自社株による収入があります。
その額は年収の何倍にもなることがありますし、財務は上場の貢献度が高いため、他の従業員よりも高い見返りがあるのです。
そういった意味でも財務は魅力ある職種だと思います。
財務の転職市場
財務の経験を持つ求職者が、転職後にどれだけ良いポジションを得られ、重大な役割を持つかはご理解いただけたと思います。
労働市場と転職市場はリンクしています。
労働市場でのニーズが高く、労働条件が良ければ、転職市場でも同じことが起きるのです。
また、今の転職市場は求職者の方が有利の売り手市場になっていますが、財務の場合は市場の動向に関係なく常に売り手市場です。
今は転職後が管理職未満になる求人や、未経験者が応募できる求人など、求人が豊富にあります。
未経験で財務を希望する方にとっては、今の売り手市場は絶好のチャンスですね。
私の転職エージェントにも、財務の求人は常にあり、そのすべてで他の職種よりも高い条件が提示されています。
通常の転職では未経験者の労働条件は下がることが一般的ですが、財務の場合はそういった傾向がありません。
余談ですが、転職には職種ごとの傾向があります。財務の場合、日頃から金融機関と関わることが多いため、折衝経験のある銀行マンを求める場合も目立ちます。
知識や在籍していた銀行と取引できる可能性が、十分に戦力だと考えられているのです。
私の経験上、財務の未経験求人に応募する方は、元銀行の方が多いように感じています。
転職難易度
財務の経験がある求職者の方は、転職活動をスタートして3カ月程度で内定はもらえます。
私の転職エージェントをご利用いただく方の平均的な転職活動期間は3カ月から4カ月程度です。
もちろん、全員短い期間で転職が決まるわけではないのですが、長い場合でも半年程度で転職は決まっています。
問題は未経験者の方で、他の職種から財務への転職は簡単とは言えません。
それなりに数字に強いことが何より重要で、ある企業では適性検査の非言語の能力テストとは比較にならないほど難しい筆記試験があります。
理系や文系の区分はありませんが、未経験者の場合は高度な数学のスキルが必要になってきます。
将来は明るいビジネスライフに間違いない!
ここまで財務という職種についてご紹介してきましたが、求職者のみなさんはどのような印象を持ちましたか?
今回のテーマを読んで財務を希望する求職者の方もいるかと思いますが、実際のところ誰でもできる職種というわけではありません。
労働環境が良いということは、それに比例して責任が重く、仕事の内容が難しいのです。
経験がない中でも財務に魅力を感じている方は、この記事をきっかけに研究してみましょう。
求職者のみなさんの転職活動が有意義なものであり、転職後の働き方が理想的であることを祈っています。
財務の仕事は外部の銀行との折衝、金融機関への営業などタフな面が必要となるため、比較的男性の方が向いている職種と言われています。
その証拠に一般的な企業の場合、財務は男性、経理は女性という区分になっていることがよくあります。
銀行などの金融機関にある、女性よりも男性が上位といった企業文化も影響していますね。
財務は実務経験が重視される職種です。
特別な資格がなくても従事することができます。
未経験者の場合は、公認会計士や税理士といった資格が武器になることもあります。
この二つの資格ともにお金の深い知識が必要になるため、お金を扱う財務に役立つのです。
しかし、公認会計士や税理士は国家資格であり、中でも難易度が高いとして知られています。
「財務を希望する方は、ぜひ取得に向けて頑張ってください」なんて軽々しく言えるものではありません。
現職の仕事、資格の勉強、転職活動の三つを同時に行うことは無理があるので、オススメはしません。