【現役エージェントが語る】外資系企業への転職事情とは?
みなさん、こんにちは。
日本にはもちろん日本企業の方が多く存在しますが、最近はビジネスのグローバル化が急速に進み、海外資本の外資系と呼ばれる企業も数多く存在しています。
私は転職エージェントとして活動していますが、求職者の方々の中には、外資系企業を事実無根の理由で非常に好印象を持つ方もいますし、その逆もいます。
今回は転職先としても人気な外資系企業の転職事情ついて、詳しくご紹介できればと考えています。
外資系企業の実情と転職事情
ここ最近、外資系企業の日本進出が急速に増えていることは言うまでもありませんが、そこで働く友人や知人が周りにいるという求職者はどれぐらいいるでしょうか?
海外資本の企業が増加傾向にあるとはいえ、あまりいないという求職者の方が多いと思います。
つまり、あくまで急速に増えたということに過ぎず、実際の絶対数としてはそこまで多くはないのです。
しかし、求人数という観点では絶対数が少ない中でも増えているため、求職者としての立場で外資系の求人を見たことがある、紹介を受けたことがあるという人は多いと思います。
日本文化に馴染んだ社風
日本人の外国資本企業へのイメージで最も多い意見が『ドライな社風で事前告知なくすぐ解雇される』です。このイメージは間違ってはいません。
日本に進出している外資系企業の社風はドライじゃない?
しかし、これはあくまでアメリカ系企業に見られる傾向です。
また全てのアメリカ系企業がドライであるわけでなく、一部の米国企業がそういった企業文化を持つというだけのことです。
我が国に置き換えて考えれば分かりますが、例えば全ての日本企業がトヨタ式経営を行っているわけではないのと同じです。
日本に進出している外国資本企業のほとんどは、特別ドライな社風を持っていることはほとんどありません。
実際、日本にある多くの海外系企業の社風は日本に馴染んだ文化を持っています。
外国資本も無視できない日本の労働法
これには企業単体ではどうにもできない日本の労働基準法が強く関わりをもっているためです。
国外資本系企業と聞くと契約関係にドライな企業だと感じる方があると思います。
特に解雇関係においては、契約書に従って淡々と切られてしまうという印象をお持ちではないでしょうか。
しかし、日本の労働基準法に特例措置は一切なく、解雇についてはかなり厳しい基準を持っています。
日本の外に本社がある企業であっても、一度雇った従業員を簡単に解雇することはできないのです。
残業時間が少ない労働環境
日本企業の場合、特に企業規模が少なく人件費を抑えたいと考えるベンチャー企業では個人の与える業務量が多く、その結果サービス残業となる時間が多い場合があります。
しかし、外資系企業の場合は、労働時間については自国の文化を浸透させている企業が多いために、決められた時間内で業務を終わらせる能力が重視されます。
そのため、日々の残業時間は日本企業に比べて明らかに少ない外資系企業の方が多いです。
日本人の労働者からするとこのような労働環境は、かなりありがたい要素だと思います。
基本的に生産性を意識している
外資系企業は労働時間が短く、そのために生産性を大事にしている企業が多いです。
- 例えば、同じ業務でA社では10時間かかるものをB社では8時間で終わったとします。結果としては、どちらも業務を完遂したということに変わりはありませんが、完遂に要したプロセスが違います。B社はA社よりも2時間短縮して業務を終えることができています。これが生産性です。
求められているのは生産性の高い求職者
海外系資本は、能力の高い従業員=生産性の高い従業員と定義しているため、中途採用の基準についても生産性を重視する傾向にあります。
また、生産性を上げるために外資系企業では無駄な会議を省き、業務効率を上げるためにコミュニケーション手段にも特徴があります。
彼らはこのあたりについてもロジカルな思考を持っていて、対面や電話は必要最低限としてメールの方が後々、エビデンスとなることにもなりますので、メールを多用する文化があります。
この生産性を意識する文化、生産性が高い人材が優秀という定義が日本人からするとドライと感じたり、マイナスと捉える求職者もいるのですが、その分、労働時間が短く済むということで私としては前向きに考えて良い文化だと思います。
給料が高い!?
結論から言うと外資系企業の実態は一部の業界を除き給料レベルは日本企業とほとんど変わりません。
給料が高いと言われるのは、金融関係の外国資本企業になります。
金融業界に属する国外系企業は頭一つ抜けているぐらい高い年収を転職後は貰えることが可能です。
ただ、ここで注意点があります。
日本でも金融業界は、高い年収が確保できる業界です。
そしてその分、かなりのハードワークで、これは外資系企業でも同様です。
表面上は高い給料水準のように感じますが、給料の総額を労働時間数で割って時給計算してみて頂きたいです。
世間のイメージほどの高い時給とはなっていないケースが多いです。
外資系企業へ向いている求職者
身雇用制度、年功序列制度が崩壊した現在、求職者または労働者は自分の実力を発揮しやすく働きがいのある非日系の企業に熱い視線を送っています。
私の所属する転職エージェントでは、実際に国外資本の企業で働いた経験を持つ求職者を対象に調査を行っています。
今回はその中から、外資系企業で働くメリットについて紹介させていただきます。
自分の考えや価値観と照らし合わせながら比較して頂ければと思います。
実力主義である
外資系企業の特徴は完全なる実力主義という文化を持っています。
日本の企業では年功序列制度が崩壊したとは言え、この名残はまだ残っています。
例えば、給料体系で簡単に分かります。
給料体系は基本給とその他の手当で構成されることが一般的ですが、年功序列制度がなくなったとしても名残が残る企業では、『年齢給』という年齢に応じて支給される手当があります。
しかし、ガチガチの日系企業でない限り、このような類の手当は一切ないです。
実力主義が当たり前であり、自分もその制度の方がやりがいを感じるという求職者は外国の文化を持つ企業に向いていると思います。
私は転職エージェントとして外資系企業を希望する求職者の方の支援も行っていますが、もっと実力主義を徹底する企業で働きたいということで転職先として希望する方が多いです。
女性差別が少ない
これは特に女性の求職者については心底嬉しいことだと思います。
日本の転職市場では、女性の求職者は男性の求職者よりも紹介できる求人数が少なく、(法律違反なので表には出てきにくいのですが)例えば「男性のみ」といった求人すらあるのです。
一方、アメリカやヨーロッパ系の企業の多くはワークライフバランスの文化を持っている企業が多く、女性も性別に関係なく同じ業務や同じ成果に対して同じ評価を受けます。
女性でも実力があれば管理職のポジションに当然、就くことが可能です。
女性特有のイベントへの理解がある
また、外資系企業に勤務している女性は、妊娠などのイベント後も当たり前のように復職することが普通になっています。
ただ、唯一金融業界については注意が必要です。
日本の金融業界に属する企業と同じくハードワークとなりますので、妊娠などで休業や復職は当たり前の文化だとしても実質的に労働時間が長く、家庭への時間を担保することが難しいです。
家庭への時間を割くことが増えると当然、仕事へ向ける時間の確保が難しく、成果もなかなか出にくい状況になり、もとより、男性女性の差別なく、しかも、実力主義の文化ですので、降給や降格という評価を受けてしまいます。
自分のペースで仕事ができる
外資系企業の場合は、もちろん管理職という立場の従業員はいますが、日本企業ほど細かい管理やマネジメントをすることはなく、定期的な結果だけ報告する形式を取ります。
中にはフレックスタイム制を上回る自由度の高い労働環境をもっていることもあります。
私はこのフレックスタイム制を上回る自由度の高い労働環境をスーパーフレックスタイム制と呼んでいますが、出社時間も退社時間も個人の自由、定期的な個人目標を達成していれば業務時間内でもある意味、何をしてもOKという企業も知っています。
ただ、プロセスは自分のペースで仕事をすることができますし裁量も個人に委ねる文化ですが、実力主義は言い換えると結果主義となりますので、この文化でやれると考える求職者は外資系企業に向いていると言えると思います。
語学力を生かせる
外資系企業は当然、海外の資本が入っているために社内の公用語は外国語という場合もあります。
最近は、日本語も使うというケースもありますが、英語を社内の公用語とする企業も依然として多いのです。
その場合、日本で働く日本人であっても英語力は必須スキルになります。
日本でも英語を習得している人材は最近増えていますし、この英語力を武器に仕事をしたい、転職したいと考えている方も増えています。
ただ、注意としては日本企業では英語を使える人材は少なく、マーケットバリューが高いとされ労働条件で優遇されることも多いのですが、外資系企業では英語は使えて当たり前と取る企業も多いですので、英語を使えるということで転職後に過度な期待は持たない方が良いです。
企業の方向性が変わることがある
外国資本の企業の大本は海外にある本社です。
つまり日本にある外資系企業は、本社からすると一拠点に過ぎません。
そのため、海外の本社の方針から100%影響を受けます。
このような変更事案が良くありますので、この変化に柔軟に対応できる能力や、この変更をストレスと感じない図太さが必要になります。
と言うのは、国外資本系企業を退職する日本人の方があげる理由として、変化に対応できないという声が多いためです。
外資系企業で働くことでキャリアアップに繋がる
最近、確かに国外資本の企業は求人を出すようになっていますが、日本にある企業数で考えると少ない部類になります。
また、選考基準も高いことが特徴ですので、転職に成功する求職者は選ばれた人材であることはまず間違いないと言って良いと思います。
転職エージェントとしてある日本企業の経営者とのエピソードを一つご紹介します。
外資系企業出身の求職者に関するあるベンチャー企業とのエピソード
ある日本の成長スピードが早いベンチャー企業と転職エージェントとして取引していますが、その企業の経営者と受けていた求人に関して打合せすることがありました。
その経営者は、他の企業の経営者仲間から、『外資系企業あがりの人材は優秀であることが多い』と聞いていたそうです。
そこで転職エージェントである私に『御社の求職者で、外資で働いたキャリアを持つ求職者がいたら書類選考なしで私の面接だけで判断します』と言ってきたのです。
その企業の当時の求人は1名だけの採用でしたが、結果的に3名ほど同時に内定を勝ち取り、全員がその企業へ転職しています。
その企業の経営者が言うには、『評判通り非日系の企業で働いた経験がある人材は優秀で、1名だけの採用では勿体ないと思って同時に複数名採用した』とのことでした。
外資系企業出身者が転職市場で有利になる理由
こういった現象が生じる理由は、海外の文化を持った企業で『実力主義』が徹底されているからです。
つまり、業務の途中経過部分は個人の裁量に委ねるために、結果だけの実力主義である環境です。
このような実力主義の環境で仕事をしていると、意識として目標達成力というスキルが身に付くことが想定されます。
比較して申し訳ないですが、現職が非日系企業の求職者は、オーソドックスな日本企業だけの経験を持つ求職者よりも、目標達成意欲がずば抜けているように感じます。
日系企業は国外資本系企業経験者が欲しくてたまらない!?
評価という意味では結果だけを見る環境は、日本企業よりもはるかに厳しいです。
ただ、この厳しい評価制度を持つ環境で成果を出し続けている人材は日本企業は欲しくてたまりません。
と言うのは、日本企業では日々のマネジメントや管理体制が厳しい分、評価に対しては緩いことがあり、そうなると結果的に従業員の意識といて甘えが出てしまい目標達成意欲の低下に繋がります。
その証拠に外資系企業の人材は、ヘッドハンティングを受ける場合が日本企業で働く人材よりも可能性として高いです。
外資系に強いおすすめ転職エージェント
もしアメリカやヨーロッパに本社を持つ企業に興味がある場合、オススメの転職エージェントは、アデコやランスタッドです。
ただ、転職市場の求人というのは転職エージェントが異なっても被ることが多いので、日本の大手企業一つに登録するだけでも結構な求人が得られると思います。
基本的に外資の転職エージェントはグローバルに展開していて、日本市場に対してそれほど本腰を入れて進出していることって少ないんです。
最近は日本の転職市場が良いので少し活発になっていますが、個人的にはいずれ撤退するのではないかと思っています。
転職でキャリアアップの実現を!
外資系企業への転職はその後のキャリアアップに繋がる可能性があります。
同僚に外国人がいる場合が多いですし、そうなると国際的な人脈を作ることができ、価値観の創造にも繋がるでしょう。
また、本社が海外にありますので、海外で仕事がしたい、本当は海外で転職したいと考えている求職者は、実力次第で海外赴任ということも想定されます。
もちろん転職は難しく、実力主義の世界は厳しい環境といえますが、厳しい分、その後に大きなプラス要素をもたらしてくれると思います。
皆さんの転職活動が有意義であり、そして、転職が将来に好転するきっかけとなることを祈り、今回はこれで話を終わりにしたいと思います。
最後までお読み頂きありがとうとございました。