1年間で転職活動に向く期間と向かない期間は??
みなさんは転職活動の時期を気にしたことはありますか?
私は現在、転職エージェントとして求職者のみなさんの転職支援をしている立場にあるのですが、その際必ず求職者の方とは面談をすることにしています。
記入してもらうアンケートに『転職活動を始めるきっかけと時期』といった項目があるのですが、ほとんどの方はきっかけは記入してもらえても、時期については特に記入がありません。
面談であらためて『転職活動を始める時期は何か理由はありますか?』と訊いても特別な理由を持たない方がほとんどです。
今回の記事の目次
求職者が転職活動を始める時期
恐らく大体の方は、時期についてあまり気にしていないのではないでしょうか。
私は転職エージェントをする前に、企業の人事として働き、求職者として転職活動をして転職した経験があります。
この経験を踏まえると、転職をする時期についてはこだわってほしい部分です。
求人が多い時期と少ない時期の動向を読んでほしいのです。
求人が多い時期に転職活動を始めた方が絶対に有利ですよね。
求職者は企業の採用活動に影響を受ける立場
転職市場は求職者と企業があって成り立つ市場です。
求職者は企業の求人に大きく影響を受けることになります。
多くの求職者のみなさんは、自分の現職との兼ね合いをめどにして転職活動を始めると思いますが、人材業界のプロから言わせると、その理由だけでは転職活動が有利に進まないのです。
私は転職エージェントとして年中転職市場を見ていますので、1年間の求人の動向や企業の動きがリアルに分かります。
毎年、時期によって求人の数が異なり、企業が採用活動を積極的に行う時期とそうではない時期があるのです。
企業には要員計画というものがあり、年度単位で予定が立てられています。
また、事業連動型の要員計画とマクロ式の要員計画の2つがありますが、最近はほとんどの企業が事業連動型を採用しています。
事業連動型の要員計画とは?
こういった用語は職などで人事を経験していない限り、なかなか耳にすることはないと思いますが、これを機会に覚えていただければと思います。
企業は事業計画に連動する形で、必要な人員を各部署からヒアリングし、予算と照合して要員計画を作ります。
事業連動型は余剰人員を抑えることができるため理にかなっている計画方法で、これが決まると企業は採用をスタートします。
要員計画が決まり採用スタートするタイミングが転職のチャンスになりますし、要員計画中の時期は求人が少ないということになります。
求職者のみなさんは、企業の要員計画が出来上がる時期の少し前から転職活動をすると恵まれた環境で活動できます。
企業が年度計画のスケジュール
まず、企業の年度のスケジュールからご紹介します。
大体の企業は年度のはじめを4月として、年度の終わりを3月にしています。
4月から要員計画をすると年度途中という中途半端な時期に採用数を増やすことになりますし、年度末決算の収支が悪くなってしまいます。
なので、大体前年度の11月ぐらいから策定を始めて、1月までに完成させています。
そして2月から要員計画にのっとり、約半数以上の採用活動を行います。
残りの人員は、半期のスタート月となる10月の2カ月前から採用活動を再開することが多いです。
この仕組みを求職者のみなさんが理解することで、自分がいつ転職活動をすると求人が多い時期に転職活動できるのか把握することができると思います。
いくら気合があっても、求人が少ないと効率的な転職活動はできません。
転職活動は運も左右すると言いますが・・・
転職活動は運が左右するという意見には私も同感ですが、転職活動を始める時期という意味では、運を強くすることができると思っています。
私が転職活動は運の要素もあると思っている部分は、もっとスケールの大きな話で、今の転職市場は求職者のみなさんが有利な売り手市場です。
景気については、転職エージェントも企業も求職者も先読みが難しいです。
ただ、転職を始める時期は景気よりもスケールが小さいですし、要員計画という計画に基づく以上先読みしやすいと言えます。
しかも、この計画が建てられる時期は毎年同じですから、毎年同じスケジュールで要員計画と採用活動が行われています。
経営者は計画通りを好む!
転職活動は、年度単位で考えるならば、運ではなく情報戦です。
企業の裏事情を把握することによって自分の立場を有利にできます。
ここ数年で、転職エージェントを利用して事務手続きや求人を拾う機会を増やす面では、転職活動を有利に進めることができるようになっていますが、それ以上に企業の採用に関係する情報を仕入れることが成功の秘訣だと思います。
経営者は経営に関係することが計画通りに進まないことにストレスを感じますし、嫌悪感を強く持ちます。
経営に関係する計画がずれると、時期ごとの利益の予算がずれ込み、最終的に決算に影響するからです。
要員計画通りに採用活動が進まなければ事業を拡大することができませんし、事業を拡大できなければ年度前に立てた予算未達ということで、決算が悪くなります。
特に上場企業においては、決算の良しあしがその企業の株価に影響し、決算が悪いことで株主離れや企業の資産価値が下がるため、何が何でも計画通り進めようと考えます。
先読みできるならば、先回りしよう!
要員計画をもとにした採用活動は、直接売り上げに貢献する活動ではありませんが、必要人材数がなければ、予算達成はできませんし決算にも影響します。
採用活動の遅れは決算に悪影響をもたらすということで、どの企業の経営者も非常に進行遅れを気にします。
このように、企業の年度スケジュールを先読みできるならば、求職者はそれを先読みして行動するべきでしょう。
弱者を強者に近づけることができる武器が、企業の年度スケジュールです。
求職者のみなさんは、ライバルとなる他の求職者にも勝っていく必要があります。
他の求職者よりも企業の採用活動の事情を知っていることは強みになります。
私は求職者時代に、転職を始める時期をかなり意識していましたし、結果的に自分の思い描いた通り、かなりの求人を拾えるという状況でした。
求職者のみなさんは、ぜひ、企業の採用活動の裏側を頭に入れて先回りして転職活動をしましょう。
転職市場に求人が多い時期
企業の採用活動における年度単位のスケジュールを先ほどご紹介しましたが、ここで転職を始めるのに有利な時期を明確にご紹介したいと思います。
企業は年に2回、多くの職種において求人を公開して中途採用活動を行う時期があります。
そして、その中で求人が多くゲットできる時期は2月と8月です。
企業は年度を大きく二つに分けて上半期と下半期で振り分けています。
年度初期を4月にしている企業の場合は、4月から事業拡大できるように2月ぐらいから求人を一気に公開します。
最近の企業の採用活動は、異常に選考スピードが速いです。
大体の企業は求人公開から1カ月以内に採用クローズしたいと考えています。
また、年度期間中にもう1回、一気に採用活動を行う時期があります。
下期のスタートとなる10月の2カ月前にあたる8月です。
この時期も同じように8月中に内定を出して9月は内定期間、10月に入社といった計画です。
求職者のみなさんは転職エージェントを利用するとキャリアアドバイザーからのメールに選考スピードが速まっているので意思決定は早急にという文言を見たことはないでしょうか。
大げさな話ではなくここ最近、本当に選考スピードが速いですので求職者のみなさんは対応した方が良いと思います。
転職活動に向かない時期
企業が採用活動を終えた直後の時期は一気に求人が減りますので、その時期に転職活動をしてもあまり効率的とは言えません。
転職活動に向かない時期は、4月~6月と10月~12月です。
特に10月~12月を含めた下期の半年間は、企業は人材の採用よりも、決算に向けて売り上げや利益に注力する時期になります。
人事も中途採用だけを仕事にしている訳ではないので、人事として他の仕事も採用活動が落ち着いた期間を利用して行います。
求職者のみなさんは、この時期に転職活動を始めるといきなりつまずくこともあり得ますので、時期を考えて行動した方が良いと思います。
何事も最初が肝心という言葉がある通り、転職活動も最初が肝心です。
転職活動は勢いだけではだめです!
何でもそうですが、同じ時間を使っても成果が高い場合と低い場合では、その時間の価値が違います。
時間は有効に使い、自分がより有利な状況になるように立ち回りましょう。
その一番の要素が今回ご紹介した採用活動の裏側です。
この裏側を知ることでみなさんの転職活動の生命線とも言える求人が多い時期に転職活動をすることができますので、当然内定は近づきます。
求職者の方の中には、気合と根性で転職活動をスタートする方もいますが、転職活動は自分がどうこうできるような狭い世界ではありません。
求職者のみなさんは、自分の立場を理解して、相手となる企業を知り自分の転職活動を有利に運んでほしいと思います。
最後になりますが、求職者のみなさんの転職活動が有意義であり充実するものであることを祈り、これで話を終わりにしたいと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。