【第4回】消耗品・雑貨業界を渡り歩いた20年の転職記~転職サイトでの転職はいかがなものか~
転職サイトで見つけた転職先
さて無職になってしまいました。
今までは次の転職先が決まっていたので何の不安もなかったのですが、今回は次の仕事もなく、先行きが全く見えない状況です。
転職活動をしますが、エージェントに登録して、転職サイトに登録したらあとは案件が出てくるのを待つだけという状態です。
先が見えない、予定もないというのは実はけっこう恐怖に近いものがあります。
そんな中しばらくして同業他社の案件を転職サイトで発見しました。
会社名こそ知りませんでしたが、ブランドとしては有名なブランドを持っている会社でした。
私は今まで外資系企業に勤めていましたが、今回は初の国内企業への挑戦となりそうです。
「外資は冷たい」という印象を持っていた私は、この国内企業に若干の期待を抱いていました。
それが無碍にされるとも知らずに。
転職先調査
さて、転職先について何か情報を持っている人がいないかとあちこち聞いてみると、やはり業界にはいるものです。
直接ではないが、そのメーカーの取引先にいたという人がいました。
その方によると、
「そのメーカーは一度取引先が潰れてしまい、それほどの被害はなかったようでほぼ再建が終わったところ。
ちょっと変わった商売の手法を取っていて伸び悩んでいる。経営陣がもう少し業界の商習慣を知れば変わるかもしれませんね」
というお話でした。なんだかちょっと腑に落ちないというか、あまり好意的な感じではありませんでした。
この方ともう少しお話をしていればよかったのかもしれませんが、他に当てのない私はこの会社に入社することになります。
面接と条件
初回の面接は人事部らしき方でした。いつも不思議に思うのですが、面接の時って名刺をくれる方がほとんどいないですね。
なので面接官がどういうポジションの方なのかあまり理解できない場合があります。
今回の面接はひとりだけでした。過去の経歴と前職を辞めた理由を聞かれます。
この面接官にはあまりいい印象がなかったのですが、まあ雇っていただかないと困るので必死に自己アピールをしました。
入社後、この第一印象はズバリあたることになります。第二次面接は人事部の方とマーケティング担当役員らしき方でした。
どちらもこの業界には詳しくないらしく、業界では当たり前のことを不思議そうに聞いてきたりしました。
第三次の面接で先方からの条件提示がありました。なんと私の希望していた月給を10万下回る提示です。
足元を見られるとはまさにこのことでしょう。既に退職をしており、現在無職の私は完全に買い叩かれています。
ここで自分の値段を下げたら次の転職の際にも不利になる、と解っていましたが私はその条件を飲まざるを得ませんでした。
後に常務がこんなことを言っていました。
「不況っていうのも経営者には良い面もあるんですよ。経験豊富な方をそれまでより安く雇えるのでね」
と。まさに彼らの思う壺だったというわけです。また、「営業マネージャー候補」という募集だったのですが、何の肩書ももらえませんでした。
どうやら今の営業マネージャーが経営陣にあまり買われていないようで、そのマネージャーを追い出してくれて、なおかつその代理になる人材を探していたようです。
家庭内手工業
この会社は設立して10年ほどで、それほど古い会社ではありませんでした。
比較的有名なブランドを持っており、そのブランド名でいろいろな商品を作って広げていくという手法を取っていました。
ブランド自体は既に全盛期を終えており、そのブランド名の遺産で食べているという感じでした。
恐ろしいほどの同族企業で、社長がおり、副社長は社長の兄、常務と専務は息子、マーケティング担当役員は姪っこという完全な家族経営の会社でした。
外資から入った私は結局この家族経営に最後まで馴染むことができませんでした。
とにかく社員ではなく、この家族に決定権があるわけです。経営陣なので当たり前なのですが、「この一家を養うために働かされている」と言う意識がどうしても頭をよぎってしまうのです。
他の方も文句は言うのですがこの会社に馴染んでいるようでした。社員同士の仲はよかったようです。
ここではないどこかへ
三カ月だった試用期間が六カ月に延ばされ、正式採用になる際にギャラを下げられ、同期で入った女性が妊娠したために正社員になれず契約社員扱いになり、細かいことが重なって私はこの会社に不信感を隠せなくなりました。
また月に一回、茨城工場への早朝勤務があるのですが、それにも嫌気がさしていました。朝7時に会社に集合させられ、車で茨城まで移動。
そして帰宅は20時過ぎと言う強制勤務なのですが、それに腹が立っていました。
早朝手当も残業手当もつくわけでもなく、当たり前のように、時間外労働を強制する態度が許せなかったのです。
もちろん以前に勤めていた会社でも7時集合の作業も午前さまになる残業もありましたし、自主的な休日出勤もしてきました。何の手当もつかなくても。
それでもこの会社ではそれが許せませんでした。結局これが「合わない」ということなのでしょうか。
最終的には業界の常識上、やってはならないことをこの会社が始めたので、それに加担するのが嫌で退職を決意しました。
私が退職を決意し、転職活動を始めたのとほぼ同時に会社側から退職勧奨がありましたので、それに乗った形となりました。
退職後の風の噂
私の退職後まもなく、3名ほど退職したと聞きました。退職勧奨があったのか、自主退社なのかはわかりませんが、某転職サイトにその会社のことが書き込まれていて、
「あ、これあの人の書き込みじゃないかな」
と言うことがありました。そして転職サイトを毎日チェックしている私はこの会社がまた転職サイトで求人募集しているのを発見します。
離職率の高い会社は転職サイトにしょっちゅう載っているので要注意ですね。募集する会社はそれなりの理由があるものなのです。
この時に辞めたというマーケティング部長に次の会社で出会うことになります。それはまた別の時にお話しできればと思います。
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