手厚い転職支援を受けるためには、求職者として優等生になるずる賢さも必要
現在の日本では、転職にいくつか方法がありますが、その中で転職エージェントを利用する方法が最も転職決定の近道です。
皆さんは、転職エージェントにどのようなことを期待するのでしょうか。
一般的に言われていることは、事務処理の簡素化、書類選考や面接の対策、内定時の条件交渉などです。
しかし、転職エージェントはどの求職者にも同じ転職支援を行うとは限りません。
優秀なキャリアアドバイザーが多くいる転職エージェントを利用できれば、当然に優秀なキャリアアドバイザーが担当する確率も上がります。
そこで今回は、どのような対応をすることで、他の転職エージェント利用者より良い転職支援を受けることができるか、ご紹介しようと思います。
今回の記事の目次
転職エージェントは営利目的の民間企業
転職支援を行う組織は、必ず派遣法に則り、国から認可を得る必要があります。
この組織には、転職エージェントはもちろんのことハローワークも同じ群に含まれます。
ハローワークは無料の紹介事業者ですので、営利を目的ではなく純粋に求職者の転職支援を目的とした組織です。
しかし、転職エージェントは民間の有料事業者であるため、求職者の転職支援を通して利益を得ることが一番の目的です。
つまり、転職エージェントは、国から認められた立派なビジネスモデルを展開する営利集団と言えます。
ハローワークは積極的に転職支援をしてくれることはありません。必要最低限の転職支援だけです。
ハローワークで働く方は全員公務員のような立場ですから、のんびりした転職支援が普通です。
しかし、転職エージェントは全くの真逆です。
転職エージェントの賞与は業績や個人の業績次第で大きく変動し、昇給や昇格の差も出ます。
転職エージェントは最終的に自分の利益のために転職支援を積極的に行うのです。
しかし、ご存じの通り転職エージェントは、求職者から手数料をもらうことはありません。
法令に求職者から報酬を得てはいけないと記載があるからです。
転職エージェントには顧客が二つ
転職エージェントには、顧客と言える存在が二つあります。
一つは求職者です。
求職者は、転職エージェントからすると売り上げや利益を生み出す自社商品でもあります。
もう一つは、求人を転職エージェントに発注する企業です。
求職者の転職決定時に、企業から転職エージェントに紹介料として求職者の年収30%前後の紹介料が入ることになります。
同じ顧客でも、商品として捉えることができる求職者とは異なり、企業は手数料を支払います。
表向きは、求職者を優先しているという転職エージェントは多いのですが、本音は採用する企業優先です。
いくら商品となる求職者が多く登録していても、採用企業が求人を発注しなければ求職者は単なる在庫にすぎないからです。
この要素が強いため、企業に対して商品である求職者を多く紹介しようとします。
時には採用する企業視点が強いあまりに、応募したくない求職者を無理やり紹介してみたり、内定辞退したい求職者に無理やり入社を促したりします。
成功報酬型のビジネスモデルが生む、求職者からするとありがた迷惑なことです。
求職者は弱者
転職エージェントが求職者ではなく採用する企業視点に立つことは分かっていながらも、求職者は、転職エージェントを利用せざるを得ません。
成功報酬型でリスクがない採用する企業が、転職エージェントへどんどん求人を発注するためです。
求職者は求人が多い方が当然、転職には有利ですから、利用するしかなくなります。
求職者は、転職後も企業経営者との対比で弱者となり、転職活動中も企業や転職エージェントとの対比で弱者です。
弱者だからと言って、自分の意見をしっかり主張することには全く問題ありません。
ただし、横柄になってはいけません。
転職エージェントで働くキャリアアドバイザーも感情を持つ人間です。
弱者たる求職者が横柄になってしまうと、キャリアアドバイザーは積極的な転職支援をしようとはしません。
キャリアアドバイザーは商品が豊富
求職者を商品と表現していることに不快な思いをされている方がいらっしゃいましたら申し訳ありません。
今回は分かりやすいように、あえて求職者を商品と表現しております。
キャリアアドバイザーには商品である求職者が多くいます。
規模の大きい転職エージェントになればなるほど登録する求職者数は多くなり、キャリアアドバイザー1名が担当する求職者の数は30人~40人になります。
物理的にそのような数の求職者を全員平等に転職支援するのは無理です。
私は転職エージェントとして活動しているのですが、1名で同時期に質を担保しながら対応できる求職者の数は多くて10名前後です。
キャリアアドバイザーは抱える求職者が多いため、同じく転職を希望する求職者でありながら優先順位をつけています。
立場上、どの転職エージェントも言葉にしないと思いますが、絶対に求職者に差をつけています。
大手の転職エージェントで働く私の友人全員が、担当する求職者に優先順位をつけていると言っています。
キャリアアドバイザーの個人業績により昇給や賞与額が大きく関わるため、転職決定しやすい職種の求職者や、好感の持てる求職者を優先的に転職支援しているそうです。
求職者からすると悲しいことですが、これが現実です。
規模の大きい転職エージェントの転職支援
転職エージェントと言っても、規模の大小によりデフォルトの転職支援の内容が異なります。
まずは、大手の転職エージェントの場合の一般的な転職支援の内容をご紹介します。
- 転職に伴う面談(自己分析を含む)
- 求人の紹介
- 履歴書や職務経歴書の添削
- 適性検査対策
- 面接日程の調整
- 面接対策
- 面接後のフォロー
- 内定時の条件交渉
大手の転職エージェントは大体がこの転職支援です。
しかし先述の通り、大手となればキャリアアドバイザーの数も非常に多く、求職者それぞれに担当するキャリアアドバイザーが異なります。
転職エージェントとして同じ転職支援を行うように方針を出していても、キャリアアドバイザーによっては転職支援の範囲を小さくしたり、質の悪い転職支援をする場合があります。
横柄な対応を取らない他に、良質な転職支援を受けるためにはどうしたら良いのでしょうか。いくつかご紹介します。
女性の担当者を選ぶ
基本的にキャリアアドバイザーは求職者が選ぶことはできないのですが、登録後の変更依頼は可能です。
しかし、ピンポイントに○○さんというようなことはできません。
そのため方向性としてのアドバイスになりますが、キャリアアドバイザーは女性の方がきめ細かい転職支援をしてくれる確率が高いです。
そもそも、人材業界全体を考えても女性が多く活躍しています。
女性の中でも30代中盤以降のキャリアアドバイザーなら、さらに理想的です。
私も求職者として大手の転職エージェントを利用したことがありますが、30代中盤以降の女性のキャリアアドバイザーは他のキャリアアドバイザーに比べて転職に関する情報量が豊富で経験が大きく、心強かったです。
また、女性のキャリアアドバイザーは自主的に求人を発注した企業へ出向き、求人票に記載がない企業情報まで提供してくれることが多いです。
ここで注意点ですが、どのようなタイプのキャリアアドバイザーが担当となっても、レスポンスは早くしましょう。また約束は守りましょう。
この二つをしっかりできれば、どのキャリアアドバイザーがついても、求職者の態度で転職支援の質を変えられることはないと思います。
希望給与や職種などと転職支援
残念なことですが、どれだけ態度良く、レスポンスや約束を守っても、キャリアアドバイザー側の問題で転職支援に差が出ることがあります。
一つは求職者の希望年収です。
求職者の年収によりキャリアアドバイザー営業成績が変わります。
そのため、希望年収の高い求職者を優先的に転職支援することが多くあります。
二つ目は、転職決定数です。
この決定数もキャリアアドバイザーの営業成績に大きく影響します。
このため、より決定しやすい職種やレンジを優先的に転職支援しようとします。
具体的には営業職や第2新卒枠、一般事務職です。
転職エージェントの中では、決められなかったらキャリアアドバイザーをやめるべきと言われるぐらい転職決定しやすい求人になります。
このような紹介手数料額と決定数がキャリアアドバイザーの昇給や昇格、賞与額に影響を与えます。
求職者はこういった背景で支援の質が悪いと思ったら、遠慮せずに即座にキャリアアドバイザーの変更依頼をしましょう。
キャリアアドバイザーの変更頻度は、売り上げや利益に直接的に影響がないため、全く評価の対象に入っていないそうです。
若手のキャリアアドバイザー
キャリアアドバイザーの中には若手のキャリアアドバイザーがいます。
求職者の数にキャリアアドバイザーの数が追い付かないことがよくあるからです。
この場合は注意が必要で、キャリアアドバイザーの変更を予測しながら接した方が良いです。
間違いなく、その求職者は転職エージェントから優先度を下げられています。
大手の転職エージェントでは求人の豊富さだけを期待して利用し、転職支援に定評がある小規模の転職エージェントを本命として転職活動するのもありだと思います。
大手転職エージェントから紹介を受けた求人を他の転職エージェントで取ってきてもらうといった、難易度の高いテクニックを使っている人もいます。
求職者はずる賢くあれ!
この他にも、大手の転職エージェントから受けることができる複数の転職支援ごとに、タイプの違うキャリアアドバイザーを担当とすることも賢い選択です。
面談に適したキャリアアドバイザー
転職支援の最初には必ず面談がありますが、この面談ではベテランのキャリアアドバイザーを担当とした方が良いです。
理由はベテランとなれば、キャリアアドバイザーとして転職に関する経験や知識が豊富で、面談内である自己分析に関しても有益な意見をもらえるからです。
逆に適さないキャリアアドバイザーのタイプは、年齢の若いキャリアアドバイザーです。
求職者が20代後半以降の方であれば、正直、求職者自身の方が、社会人経験は豊富ですので、新しい発見はまずないと思います。
履歴書や職務経歴書の添削に適したキャリアアドバイザー
次は、履歴書や職務経歴書の添削に適したキャリアアドバイザーですが、ベテランの女性キャリアアドバイザーがお勧めです。
経験や知識が豊富なことはもちろん、女性キャリアアドバイザーは企業とのコミュニケーションを活発に取っており、どのような履歴書や職務経歴書を好むのか把握しているためオーダーメードの添削が期待できます。
男性キャリアアドバイザーにも同様の特徴を持ったキャリアアドバイザーがいますが、女性キャリアアドバイザーよりは数が少ないため当たり外れがあります。
適性検査対策に適したキャリアアドバイザー
この場合は、ベテランよりも若手のキャリアアドバイザーが良いでしょう。
ベテランのキャリアアドバイザーが絶対に適さないとは限りませんが、適性検査は言語(国語)や非言語若手(算数)となり、勉強です。
そのため、学校を卒業して経過期間が短い方が、それらの知識は若手キャリアアドバイザーの方が鮮明にあるため、問題を解ける可能性が高いです。
その他としては、高学歴(できれば理系)のキャリアアドバイザーの方が良いでしょう。
私は、適性検査が苦手でしたので、適性検査だけのために担当のキャリアアドバイザーの他、高学歴の若手キャリアアドバイザーにその時だけ担当してもらいました。
面接対策に適したキャリアアドバイザー
これは男性のベテランキャリアアドバイザーが良いです。
女性ですとどこか心に余裕があり、緊張感を持って練習することができませんが、男性キャリアアドバイザーは貫禄もあり圧迫感もありますので、練習には最適の対象です。
もし、利用している転職エージェントの中に体育会系のキャリアアドバイザーがいれば、そのキャリアアドバイザーを活用すると、圧迫感は半端ではないです。
面接後のフォローと内定時の条件交渉に適したキャリアアドバイザー
フォローはやはり女性キャリアアドバイザーです。
女性のベテランで、企業に足を運びパイプが強いキャリアアドバイザーが良いです。
条件交渉も同じくベテランで、企業とのコミュニケーションを取れている女性キャリアアドバイザーが良いでしょう。
このように、選考フェーズに合わせて、キャリアアドバイザーを使い分けることも良い転職支援を受けるコツでもあります。
小規模の転職エージェント
小規模の転職エージェントは、基本的にどのキャリアアドバイザーも優秀で当たり外れがありません。
キャリアアドバイザーの数が少ないですが、抱える求職者の数も少ないため、1人のキャリアアドバイザーが担当する求職者数も10人前後が普通です。
転職支援もどのフェーズも良質な内容ですので、求人の紹介数以外は小規模の転職エージェントを中心に利用した方が良いです。
ですので、求職者として良い転職支援を受けるために必要な対応策は特にありません。
ただ、企業の重役で採用の決裁権を持つ方と親しい関係にある年配のキャリアアドバイザーが多いため、失礼のない態度は必要です。
営業体質の転職エージェント
規模に関係なく、個人業績にシビアな営業体質の転職エージェントは、自己中心的な転職支援をする傾向があります。
前半のフェーズでは大した得転職支援はないものの、面接後半や内定時には、迷惑と思うぐらいの手厚い転職支援を手のひら返しでしてきます。
これは、実は求職者を考えた転職支援ではなく、自分自身の業績を考えた行動に過ぎません。
営業体質のキャリアアドバイザーによる転職支援にはご注意いただきたいですし、頼まなくとも内定時は余計な転職支援をしてきます。
入社後の転職支援
実は、転職エージェントの転職支援の範囲は転職活動中だけではなく、求職者が入社したあと6カ月程度まで入ります。
転職支援と言っても問題なく仕事ができているかの確認程度なのですが、求職者がある一定期間内に自己都合で退職すると転職エージェントは企業に対して紹介手数料の一部を返金する必要があります。
そのため、何が何でも一定期間までは働き続けてほしいのが転職エージェントとしての本音です。
この裏事情を踏まえて、必要以上の転職支援をしてくる場合は、求職者は入社している訳ですから遠慮なくはっきりと拒絶しても良いです。
特に営業体質のキャリアアドバイザーは、非常に面倒ですのでご注意ください。
まとめ
転職エージェントと一口に言っても規模や体質によりさまざまです。
また、同じ転職エージェントでも、キャリアアドバイザーにより対応が違いますので、転職活動を成功させるために自分にあったキャリアアドバイザーを担当とすることが大切です。
弱者であることを逆手に取り、うまくキャリアアドバイザーを使い分けて自分が最も得をするやり方を探しましょう。
今回ご紹介した内容が求職者の皆さんの転職活動に役立つことを期待して、これで終わりにしようと思います。