転職活動と仕事探しの違いは?

統計調査によると、現職に満足している労働者はほとんど存在しません。

労働環境や人間関係など、少なからず誰しも現職に不満を抱いているのが日本の労働者の実情となっています。

小さい不満が時の経過とともに大きな不満に変わり、転職活動を始めることが多くあります。

もちろん、中には仕事人として自分をもっと高めたいという理由で転職する労働者もいるのですが、大体の労働者は前者に分類されます。

転職する上での手段を転職活動と言いますが、求職者の中には転職活動を仕事探しと表現する人もいます。

今回は、転職活動と仕事探しについてご紹介できればと考えています。

転職活動と仕事探しの違いは何か?

転職活動と仕事探しは結果として同じ意味となりますが、それぞれに内容や性格という意味で大きく違いがあります。

どちらも仕事を見つけて転職する方法ということになりますが、最終的なゴールイメージが異なります。

転職活動

転職活動と表現する求職者は、安定的な労働を希望し正社員として転職したい人です。

私の転職エージェントに登録する求職者も転職先での雇用形態は正社員を希望する方が多く、転職活動を仕事探しと表現する人はあまりいません。

また、転職活動という表現をする方は現役バリバリの20代から40代中盤までの方です。

この年齢層の方にとって仕事は人生の大きな比重を占めているようです。

仕事探し

次に仕事探しという意味は、転職活動よりも求めるゴールが転職活動よりも低い場合が多いです。

仕事探しと表現する求職者は、正社員は自分のキャリアを考えると厳しいだろうとして、アルバイトや派遣、契約社員と言った非正規雇用も中心に考えている場合が多いです。

職種により違いも?

仕事探しと表現する方はゴールイメージが非正規雇用でもOKと考え場合が多いとお伝えしましたが、職種によっても転職活動を仕事探しとする求職者がおります。

そのような求職者の現職で店舗で仕事をする接客をしている場合は、転職活動ではなく仕事探しという求職者が多く見られます。

転職活動を特別なスキルが必要で高度な手法と考えていたり、インターネットを駆使して行うものと定義づけしていたりするようです。

店舗で仕事をする求職者の多くはパソコンを使うような仕事内容が極めて少ないため、転職活動を高度な手法と考えてハードルの低い仕事探しという表現をする傾向があるようです。

私の友人にアパレル関係の店舗で仕事をする友人がいますが、その多くは転職活動ではなく仕事探しと表現しています。

つまり、この二つの違いは求職者それぞれの現状やゴールにより、単純にイメージが違うだけの話です。

では、なぜ転職エージェントに仕事探しと表現する求職者が希望するような求人が皆無に近いのか軽くご紹介します。

仕事探しと表現する求職者が希望する職種の背景

転職エージェントは民間の企業や団体がビジネスとして行う有料紹介事業です。

仕事探しと表現する求職者が希望する求人の年収は平均よりも低く設定されています。

転職エージェントは企業から年収の30%前後の紹介手数料が収益となりますので、接客系の職種の求人はうまみがないのです。

職種の他、雇用形態にも同じような背景があります。仕事探しと表現する傾向がある非正規雇用を希望する求職者求人は転職エージェントにはゼロです。

理由は、年収面が正社員雇用よりも明らかに低く、採用する企業も非正規雇用に転職エージェントを利用するまでしなくとも採用決定できるためです。

仕事探しは○○で

この○○には何が入るでしょうか。答えは就職情報誌の固有名詞です。

たまにCMなどで、このフレーズを耳にすることはありませんか?

この企業の求人はアルバイトがメインです。

もちろん、正社員の求人も中にはありますが、数として圧倒的に少ないです。

また、正社員の仕事探しは転職エージェントでの転職活動というイメージが定着しているため、正社員での転職を希望する求職者はほとんど転職エージェントを利用します。

就職情報誌に掲載されている求人は、主婦やフリーターなど仕事以外に生活の中心的なものがある求職者が応募することが多いです。

そのため求人の業務内容も低いものが多く、その業務内容に高い採用コストを使うことは費用対効果が低いのです。

このような企業の採用背景もあり、仕事探し=就職情報誌=非正規雇用という構図が世間的に確立されています。

仕事探し=ハローワーク

これもイメージ先行によるものですが、仕事探しはハローワークでというものがあります。

ハローワークが抱える求人には正社員雇用の求人も多くありますが、非正規雇用の求人の方が多くあります。

ハローワークには年齢の若そうな求職者が結構います。

年齢が若くてハローワークに求人の紹介を受けようとする求職者は、接客系の仕事を中心に転職活動を行う求職者や非正規雇用を希望する求職者が多いです。

中には正社員を希望する求職者もハローワークにはいますが、この場合は転職エージェントでは求人の紹介がなく、仕方なくハローワークに来る求職者が多いです。

不思議なもので、転職エージェントを利用していた時は転職活動と表現していた求職者もハローワークを利用する頃には仕事探しと表現するようになるのです。

地方は仕事探しと言う

仕事は都心だけではなく、当たり前ですが地方にもあります。

この土地柄により転職活動と表現する場合と仕事探しと表現する場合の違いがあります。

都心部の場合は転職活動と表現することが一般的ですが、地方は仕事探しと表現することが一般的です。

これには理由があり、都心部の場合は転職エージェントが転職活動の中心的な手段となっていますが、地方はハローワークが求職者の転職支援の中心になっているためです。

私が以前、人事担当をしていた企業は全国展開をしており、正社員採用も全国採用でした。

私は人事担当として地方の営業所で採用活動も行い、地方採用を前提として求職者の面接を行いましたが、地方の求職者の方は営業系の正社員雇用の面接でも仕事探しと表現していたのを覚えています。

派遣環境では仕事探しが当たり前!

非正規雇用の中でも、群を抜いて転職活動ではなく仕事探しと表現することが当たり前であるものが派遣市場です。

派遣スタッフとして企業で仕事を行う求職者は、前提として派遣会社に登録することになります。

この派遣会社の登録時の簡単な面談で、担当者から『仕事探し』というワードがアウトプットされるため、派遣スタッフの中で転職活動を仕事探しとする表現が定着しているのです。

派遣スタッフと同じ企業で仕事をしたことがありますが、更新時期が迫ると派遣スタッフの方から『次の仕事探しを派遣会社にお願いしなければならない』という表現がよく聞きます。

フリーターも仕事探し

仕事探しという表現はこのフリーターから発信されたとういう専門家もいるぐらい、フリーター内では仕事探しと表現することが一般的です。

そもそも、仕事探しはまさに仕事を探すことですので、企業や雇用形態に関係なく、仕事ができれば良いということになります。

フリーターは仕事ができれば良いという考え方が強くあるため、仕事探しという表現が定着しているようです。

フリーターを希望して転職エージェントの登録に来る求職者は1人もいませんし、転職活動という言葉はほぼ出ないと思います。

中高年の求職者は仕事探し

年齢的に若い方は転職活動と表現する方が多いとお伝えしましたが、中高齢の方は転職活動を仕事探しと表現することが多くあります。

特に高齢の団塊世代の定年退職をした方は、次の仕事を見つけるためにハローワークを中心に職を求めて仕事探しをします。

転職活動では再就職が難しい年齢となっているため、ハローワークや就職情報誌を職探しの手法としているためと言われています。

私の友人のご親族にも再就職を目指して転職エージェントである私に相談に来ますが、仕事探しと表現しています。

仕事探しという言葉

これまで話をしてきたように、何となく転職活動という言葉はハイレベルなイメージで仕事探しという言葉がそうではないイメージがあると思います。

転職の基本は正社員でということがごく自然となっている今、アルバイトや派遣という非正規雇用が例外という立ち位置になってしまっているのです。

しかし、この変な誤解を払しょくしようとしている転職エージェントがあります。

パソナキャリアという転職エージェントです。

フリーターや接客系の仕事を希望する人などが仕事探しという表現をしますが、この求職者の方々の特徴は年齢が若いです。

しかし、同じ仕事探しと表現する求職者には、定年で退職して仕事にありつけないような方が多く存在します。

仕事探しを目的に定年退職後の高齢の方はハローワークに通い仕事探しをしますが、年齢制限によりハローワークでもなかなか見つけることが難しいのが実情です。

これらの転職市場の是正を図り、最も弱者と言っても違和感がない高齢の方の転職支援をスタートしたのがパソナキャリアです。

正直なところ、定職した高齢者の給与レンジは新卒レベルであるため、転職支援から得られる紹介手数料はそこまで大きなものではありません。

しかし、パソナキャリアでは社会貢献事業の一つとして定年退職後の求職者の『仕事探し』を積極的に支援しているのです。

この動きは、転職エージェントの中では画期的なことです。

仕事探しと表現する求職者と助成金

近年、雇用の創造という観点から国は、労働者を新規に採用する企業に対しては一定の助成金を支給しています。

採用に関係する助成金は雇用保険法にそれぞれ規定されているので、別途確認いただきたいのですが、国はこの助成金の中でも非正規雇用においては力を入れています。

私の知るある企業は、単純に自社の採用コストを下げるために非正規雇用者を正社員として採用したり、助成金を目的に非正規雇用者を正社員に変えたりしています。

世間のイメージからすると、仕事探しと表現する求職者は『正社員が難しい求職者』というイメージが強くありますので、仕事探しではなく転職活動と表現した方が良いのではないかと思います。

仕事探しと表現することの言葉の重み

転職活動は重みのあること、仕事探しはその逆という世間的イメージもあります。

社会的にこのイメージがありますので求職者は注意が必要ですが、友人や知人などの仲間うちでは仕事探しと表現しても何ら問題ないです。

実際、エージェントとして転職に大きく関わっている私も、プライベートでは簡単に仕事探しという言い方を使っています。

転職活動と意味は全く同じでも、言葉一つで簡単なものと捉えられたり、またその逆と捉えられたりすることになります。

まとめ

これまでいくつかの観点から転職活動と仕事探しの意味や違いについてご紹介しましたが、求める結果は違えど仕事を探す方法という意味では全く同じです。

同じ意味でありながら、表現方法が異なる理由は、その求職者の仕事探しの方法が大きく影響しています。

今後、仕事探しと表現する求職者の求人を抱えていない転職エージェントは、パソナキャリア同様にフリーターやアルバイトやパートの転職支援も事業として検討しているようです。

そうなれば、恐らく仕事探しと転職活動の言葉の重みや質の違いはなくなるように思います。

ある某有名な企業の人事部長は『転職は文化であっても、仕事探しは文化にしてはいけない』と言っていたことを私は覚えていますが、この方の仕事探しとは若年層のフリーターを減らしたいという意味であり、仕事探し=簡単な転職と定義する文化を排除するべきだということを言っています。

私も転職エージェントとして同感です。

求職者の皆さんは、いろいろな個人的な背景で仕事を探していると思いますが、仕事探しという言葉は今の日本ではあまりイメージが良いとは言えません。

一定の求職者を除き、今の日本ではイメージが良い転職活動という表現を使った方が良いのかなと思います。

最後になりますが、皆さんの仕事探し、転職活動が最高のものとなるよう祈り、今回はこれで終わりにしようと思います。

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