【転職エージェントが語る】日本では地方転職がブームになっている!

みなさん、こんにちは。

日本経済の中心は東京を中心として、大阪や名古屋になります。経済の中心地に企業が集中していることは言うまでもないことかと思います。

企業が都心部に集中していることもあり、それぞれの企業が業績や欠員補充を行う際も都心部が中心となります。

これらの背景もあり、現在の転職方法で中心となる転職エージェントも多くの企業が都心部を中心に展開しています。

転職エージェントが都心部に集中している理由は企業が多いということだけではなく、求職者の多くも都心部に存在するためです。

しかし、ここ最近、固定費を下げるために、地方に拠点を構えて事業運営する企業が増えており、求職者も地方へ流れる傾向があります。

今回は、日本では地方転職についてご紹介したいと思います。まずは、企業の実情から今回の話を起こしていこうと思います。

企業の経営事情

転職活動では、求職者とともに採用する企業の存在は欠かすことができません。

転職市場が地方化している背景の一つには企業の事情も強く影響しています。どの企業でも例外なく売り上げももちろん重要ですが、いかに利益を出すのかが最重要課題です。

この利益確保のすそ野を広げるために、また、売り上げが上がらず利益の確保が難しい経営課題をブレイクダウンすることを目的として企業は都心部から地方へ進出するようになりました。

企業の具体的な利益確保

例えば、ある企業が売り上げを上げるために月間100万円の売り上げがあり、販促費として30万円の広告費を投資して、かつ、月間のテナント料や人件費などの固定費が20万円だったとします。

この場合、単純計算で利益は売り上げ100万円-コスト50万円=50万円となります。

同じ企業がある月に、売り上げが100万円で、販促費として広告費が30万円、テナント料や人件費などの固定費が10万円だったとします。この月のその企業の利益は、売り上げ100万円-コスト40万円=60万になります。

同じ企業で、同じ売上額だったとしてもコストの違いにより利益の額も変わってきます。このケースでは月にたった10万の違いだけになりますが、それを年間にならすと120万円の差が生まれます。

企業の固定費とは?

企業経営に関して固定費とはオフィスを借りる際の毎月のテナント料や雇用する従業員の給料が主になります。

この固定費とは、毎月必ず大きな差がなく発生するキャッシュアウトを言います。逆にスポットとして発生するコストを流動費と言います。

企業は、この固定費をいかに下げるのかも経営手腕の一つとされていて、固定費が高ければそれだけ企業の利益や利益率の低下につながるとされています。

固定費を下げる方法1

固定費を下げる方法はいくつかあります。かつて日本ではリーマンショックというどの企業も売り上げが下がり利益が出ない時代がありました。

この時代に企業はどのような方法で利益確保したでしょうか。このリーマンショックの時代に生まれた言葉で『派遣切り』という言葉を聞いたことはあるでしょうか?

リーマンショックで業績悪化となり販促では利益確保が難しくなった企業は、企業の存続を目的として、雇用する従業員を解雇することが増えました。その一番の対象となった労働者が派遣スタッフです。

派遣スタッフとは、企業からすると雇用契約のない、派遣会社から派遣された労働者であり、コストカットする際には、派遣スタッフの人件費が最もカットしやすいものです。

どの企業でも自社と直接雇用契約のある従業員よりも雇用契約のない派遣スタッフを先にカットします。

余談ですが、この場合、企業からすると解雇には該当せずに派遣契約の終了ということになり、企業の本音としてはそこまで罪悪感なく行います。

固定費を下げる方法2

企業は業績が好調であると、従業員のモチベーションアップや経営者の自己満足も理由として、立地がよくアクセスの良い高層ビルにオフィスを構える傾向があります。

家賃は、個人がアパートやマンションを借りると同じように立地がよくアクセスが良いなど好条件の場合は、その分だけ家賃が高いです。

しかし、業績が長く低迷を続けるとこのオフィスの家賃となるテナント料が経営を非常に強く圧迫します。

そこで、どの企業も考えることは移転です。条件が悪くても企業を存続させ事業を継続することを第一に考えてより安いテナント料の場所へ移転します。

そうすると固定費が下がり経営へのインパクトは少なく済み、売り上げを担保できない業績が悪い時期でもある程度の利益は確保することができるのです。

地方は物価が安く、人件費も安い

地方は都心部に比べると明らかに物価が安いです。それに比例して好条件のテナントだったとしても、都心部の悪い条件のテナントよりもそれより安い賃料でテナントを借りることが可能です。

また、人件費が安いことも特徴です。人件費は物価の変動に左右されるものですので、物価が安いということは同時に人件費も安いということです。

求職者視点で言うならば、同じ業務内容だったとしても地方は都心部よりも給料が低いのです。

企業はこの給料は人件費で固定費に入ります。業績に関係なく必ず発生するものです。

物が売れない業績が上がらない中で、人件費の高い都心部で採用するよりも同じ業務であるならば、よりコストが安くて済む地方の労働力を頼った方が得策です。

地方はこれまで働く企業が少なく、労働人口が減少することで各自治体ともに税金確保することができずに過疎化が進みました。

企業が自社の経営課題を解決するために地方へ進出することは、地方からすると労働者が働ける場所が増えるということになり、結果的に企業が地方の地方活性に貢献しているということになっています。

国や地方自治体も支援

このように地方の経済を回復させようとして、国も企業に対して地方へ移転または拠点を持つ場合は、支援する体制がここ最近、強く見られます。

国については地方進出に伴い限定的に支給する助成金ではないものの、企業が地方に拠点を構えるという場合は、地方で採用を行うことが一般的であるために、採用に関する助成金対象になります。

この採用に関する助成金については、1人を新規に採用すると数十万円の助成金が支給されます。この助成金により、企業は採用費を賄うことができるため、実質的な採用コストはゼロになります。

しかし、地方で採用する場合は、先述の通り、人件費が低いため、仮にその企業が転職エージェントを活用して採用決定に至った場合は、採用に関するほとんどの業務を転職エージェントに委託して、さらに成功報酬の額も年収が低い分、安く済みますので、むしろ、助成金が余るということになります。

余った助成金は、その企業がどのように使っても特に規制を受けることはなく、余った助成金に関しては企業が保有する資産になるのです。

1名で数十万円となれば、複数名を新規に採用した場合は、それに応じて助成金の額も多くなり、採用コストに対して余る助成金も増えることになりますので、地方に拠点を構えただけで、企業は資産が増えるということになります。

この他にも国の雇用に関する助成金は多く存在して中には、採用した人材を教育する企業には別途、教育関係の助成金が支給されますし、就職困難者を採用した場合にも助成金の支給対象となります。

余談ですが、この助成金を企業が漏れなく受給できるように、それをビジネスとしている企業も中にはあります。

地方それぞれの企業支援

各地方ではそれぞれに特徴を持ちながら、地域経済の活性化、雇用の拡大などを目指し、日本の各地方自治体は、特色あるさまざまな施策を打ち出しています。

例えば、競争優位性を持ち得る産業拠点の形成を目指すべく特別な地区においては、規制緩和や金融上の支援を展開しています。

また、各地方に定着する外資系企業を増加させるために補助金を支給するなど企業の立地促進に向けた積極的な取り組みを展開している自治体も存在します。

私が知り得る範囲で特にこの企業誘致に積極的である自治体は、高知県や宮崎県です。

この二県は企業の中でも評判になっていて、大手企業がこの二県の企業誘致に伴う助成金含めた企業支援を受けるために本社移転や新規に拠点を構えることが多くあります。

地方の企業誘致に伴う助成金については、非常に手厚くなっていて、拠点を構えると、家賃に相当する部分の負担があったり、その地方で採用した場合は、1名あたり数十万円の助成金が支給されたりします。

企業はこの助成金を目的にして、この助成金が一定期間は家賃や人件費として賄うことができるために、最近、積極的に進出しますし、どの地方も積極的に企業を誘致しています。

私の知り合いの経営者は高知県へ拠点を構えて実際に高知県の企業支援を受けています。経営や業務に関して地方に拠点を置いたことでマイナス面はなく、むしろプラスの面が多いと言っています。

地方が企業を積極的に誘致する理由

企業は国や地方自治体の助成金や固定費を抑えることを目的として地方へ積極的に進出するようになっていますが、地方の視点から見れば、なぜ、多額の助成金を出してでも、地方へ企業を誘致しようとするのでしょうか。

先述、軽く触れましたが、日本の経済は都心部になっているため、そうなると地方で生まれ育った若手人材が就職先を求めて都心部へ出ていってしまい、地方の残る人口の割合としては、高齢者が増えてしまいます。

そうなると、地方の景気は活発化することがなく、また、高齢者は医療費が高く、医療に関係する地方自治体の運用費をカバーすることができなくなってしまいます。

実際、北海道のある地方自治体ではこの現象により実質的に破たんした地域もあります。この動きを食い止めるために各地方は若者の地方離れを防ぎ地域活性とするために、企業を積極的に誘致しています。

求職者から地方はどうなのか?

次に実際に転職活動を行い転職する立場である求職者視点で地方の仕事について、背景などをご紹介したいと思います。

地方創生という言葉がある通り、今の日本の動きは都心部ではなく地方の活性を優先的に進めているような気がします。

求職者が地方の企業の求人をどこで探せば良いのかご紹介します。

転職エージェントからの入手ルート

地方に限らず転職活動において求人を多く拾うことができるのは転職エージェントだと思います。地方の企業も例外なく都心部にある転職エージェントに求人を依頼しています。

特に大手の転職エージェントでは、地方拠点も構えていることが多く、社内的に日本全国、どの地方の求人も都心部のキャリアアドバイザーは把握することが可能です。

キャリアアドバイザーとの最初の面談で、『地方の求人も欲しい』と依頼すると、求職者の希望に見合った条件の、地方企業の求人も必ず紹介してもらうことができます。

一方、小規模の転職エージェントの場合は、地方企業の求人は多いとは言えません

地方の企業が選考フローである面接を都心部で一定期間にまとめて行うことがありますが、このような地方企業の求人については小規模の転職エージェントでも拾うことが可能です。

数としてはそこまで多くないですが、県庁所在地などを中心に、地域で展開している地元の転職エージェントもあります。

全国に拠点を持ち事業運営している転職エージェントだけでなく、地方の転職エージェントにも登録してみると良いと思います。

その地方密着型の転職エージェントは、大手転職エージェントの支社の営業ネットワークに比べて、地場の企業とコネクションが強く、より多くの企業の求人を開拓していたり、情報を持っていたりする可能性が高いです。

現在のビジネス市場や転職市場は都心部だけではなく地方でもIT化、グローバル化が進んでいて、自分に合った企業や自分がやりたい仕事が地方の知名度の低い企業や中小企業で見つかる可能性もあります。

求職者としては自分の転職活動の幅を広げるため、キャリアビジョンのためにも、その地方で展開している地場の転職エージェントがあれば活用した方が良いと思います。

ハローワークの活用

この転職方法は、都心部ではかなりマイナーな方法であり、都心部の企業も優秀な人材が集まりにくいとして、成長企業やスキルや能力が必要な職種の求人はハローワークへ依頼するということが少ないです。

地方の場合は、もとより転職エージェントという存在が必ずどの地方にもあるということはなく、地方の転職市場では、転職エージェントや転職サイトよりもハローワークを積極的に使う風潮があります。

私の地元の友人も転職活動をする際には、転職エージェントや転職サイトを利用することなく、まずはハローワークへ求人を探しに行くと言っていますし、この友人に限らず地方の転職状況を見るとこの傾向は強くあるようです。

地方の企業からしても転職エージェントがないのであれば、また、地方の企業は採用予算を多く使えないという経営状況もあるために、無料で求職者を紹介してくれるハローワークは便利な機関と言えます。

求人数が多いと、それだけその機関となるハローワークの利用価値は求職者にとっても高いということになり、求職者もハローワークの利用頻度が高くなるのです。

ただ、都心部にいる求職者(uターンを考えている)の場合、地方へ出向くことが難しいため直接ハローワークへ訪問するということは難しいと思います。ハローワークでは電話での対応ももちろん可能ですので、問い合わせしてみると良いでしょう。

本来は飛び道具的な存在の直接応募!!

都心部の企業や都心部での転職活動ではあまり有効な手法とは言えないのですが、地方では意外に有効となっている方法が、企業への直接応募です。

この直接応募のきっかけは、求職者が電話やメールで直接問い合わせてみることが始まりですが、地方の企業はこの直接応募で採用に至るというケースが都心部より明らかに多いです。

また、地方の企業の中には、電話やメールだけでなくアポなしで直接訪問することも地方の文化がそうさせるのか分かりませんが、敬遠されないことがあります。

都心部ではアポなしで企業へ直接訪問して採用に関して問い合わせしても、恐らく門前払いを食らうことが普通だと思います。

地方の企業はどこから人間味がある社風を持つ企業も多いことが求職者にとって地方で転職するブームの背景になっていると思います。

このように地方の企業の場合は、直接応募もそれなりに許容される文化があるようですので、自分が希望する職業や業務内容がその企業にあると思えば、遠慮なく直接問い合わせしてみると良いと思います。

商工会議所を活用

都心部に居住している地方に居住しているに関係なく、地方の企業情報はその地方の商工会議所が多く持っています。

例えば、自分が求める業務内容が地方の構える企業にあると思っても、その企業の会社情報が分からないということもあると思います。

その場合は、その企業がある地域の商工会議所に問い合わせしてみると良いでしょう。

私は転職ということではなく、転職エージェントとして地方のある企業について情報を知りたくて商工会議所へ問い合わせしましたが、必要の範囲内で丁寧に教えていただきました。

地方転職は転職サイト!!!

転職エージェントもハローワークもどの転職方法もリアルで行います。しかし、転職サイトは、極論、世界中の誰でも閲覧することができる情報ターミナルです。

当然、地方の求人も都心部に本社を構える転職サイトは網羅していますので、例えば現在、北海道に居住していて、転職先に沖縄の企業を求める求職者でもインターネット上にある転職サイトから求人を探し出すことは可能です。

企業によっては、面接に関して応募する求職者を考慮してくれる場合もあり、面接に伴う交通費は企業が負担してくれるということもあります。

地方で転職を考えている求職者の方は、絶対に面接に訪問した方がよいです。

正社員になりやすい地方の転職

都心部は企業も求職者も労働者もあふれかえっている状況で、その分、ライバルが多いです。企業で見るとライバル企業が多いために、売り上げを伸ばすことができず倒産する企業もあります。

労働者視点で考えると、本来は正社員で仕事がしたいと思っていても正社員での仕事がなかなか決まらず仕方なく非正規雇用で働いているという労働者もいます。

求職者にとっても同じことが言えて、正社員で転職を考えていたのに、他の求職者との相対比較で企業の面接で内定を得ることができず、仕方なく派遣やアルバイトでとりあえずつなぐという場合もあります。

このような場合、ぜひ、視点を地方に向けてみてはいかがでしょうか?

  • 正社員で働くチャンスをもらえない労働者
  • 転職活動がうまくいかない求職者

どちらも本人の実力がないというよりも、ライバルが多すぎるために、相対的評価の結果、自分の思うような結果が出ないことが多くあります。

地方の場合は、労働力人口が少しずつ増えているとは言え、都心部よりも明らかに人口は少ないです。

そうなるとライバルも少なく、地方の企業としても今は企業を積極的に誘致している時代ですので、労働者や求職者からすると正社員として働くチャンスがふんだんにあります。

地方の企業は、都心部よりも人間的で残業が多く仕事で1日が終わるというよりも海外の労働環境に似ていてプライベートの時間も十分確保できる暮らしが可能です。

自然が豊かで家族とのんびり過ごし日中は仕事を頑張るという環境は、非常にうらやましいものだと思います。

企業も自社の経営を将来的に見つめてより良い環境として地方へ進出していますし、また、国や地方自治体も積極的に企業を誘致する施策を打ち出しています。

地方の経済は今後、さらに加速すると思いますので、求職者にとっては大きなチャンスだと思います。

日本では地方転職がブーム!!!

これまで企業視点、地方視点、求職者視点のそれぞれでなぜ地方の転職が今、盛り上がっているかご紹介しました。

実は、もう一つ理由があります。それは労働者の働き方です。

ある国の元大統領が、大統領だった時代に、人間としての本当の幸せや本質的な幸せは何か?と演説したのですが、ご存じでしょうか?

人は、生活のために仕事をするのですが、生活の中で自分が欲しい物、食べたい物、行きたいところへ行くためにお金を稼ぎます。

お金を稼ぐということはより多くの仕事をすることで大きなお金をつかむチャンスでもあります。

ただ、その元大統領は、日々、請求書に追われて、その返済のために仕事をするということは人間にとっての本当の幸せではないと説いたのです。

私も何となく同じように働き続けて貴重な時間をつぶすというだけの人生はあまり有意義なものではないと思っています。

海外では日本よりも労働時間が短く、残業もほとんどないことはご存じかと思います。それはなぜかと言いますと、海外では生活の中心は仕事ではなく家族にあるからです。

家族との時間を割いてまで仕事をするべきではないという考え方が定着していますが、日本では、仕事こそ人生という考えもありますし、ハードワークこそ人の成長を促進するという考えもあります。

しかし、地方の企業は、このように日本の都心部にあるような文化は馴染(なじ)まず、海外に似た文化を持っています。

私は、転職エージェントとして求職者の転職支援をしていますが、仕事をもっと頑張り高い報酬、高い地位を手に入れたいと考える求職者にこそ、こう言っています。

『地方の企業で地方再生に貢献してみてはいかがでしょうか?その気力は地方活性には最高のものですよ』

と。中には地方に転職する方もいます。

皆さんは都心部で働き続けること、地方で転職することのどちらで自分らしい生き方ができると思いますか?

転職活動は人生の分岐点になりますので、転職後は自分らしい生き方をしてもらいたいですし、周りに流されてロジックなくハードワークをしても残るものはむなしさだけだと思います。

もちろん、楽をしたいという理由で、地方で転職という考え方もよくありません。

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