【第10回】いろいろあった20代、30代の転職~ようやっと巡り合った適職~
人に使われることの理不尽さを痛感した私は、フリーランスのライターとなるべく準備を始めた。
それまでも副業的に行っていましたが、今後は家族を養って食べて行かなくてはなりません。
まだ始まったばかりですが、現状をご報告します。
- 体験者の情報
- 名前:熊谷五郎(仮名)
性別:男性
転職経験:7回以上
現在の年齢:45歳
転職時の年齢と前職:20代~30代
フリーライターに転身
何のあてもなく仕事を辞めてしまうのは、20代前半の時以来のことです。
その時はまだ若く家庭もありませんでしたので、今と状況は異なります。それほど我慢がならなかったのです。
何とか食べていく方法として、フリーライターの道を選びました。それまでも確定申告のいらない年額20万円の範囲で書いていたものの、十分な収入を得られるかは未知数でした。
目標額はこれまでの月給プラス10万円。 3カ月以内に達成できれば継続、ダメなら職探しと決めました。
フリーライターの仕事の探し方
仕事はクラウドワークから探します。簡単に言えばインターネット上のクリエイティブ系の職業安定所です。そこから自分に書けそうな案件を探して申し込みます。
クラウドワークにもよりますが、記事として多いのはダイエット、バストアップなど美容系やメイクなどのコスメ系が多いので、これらの知識やスキルがあれば、結構な案件をこなすことができます。
残念ながら私はその知識がないので、最初は手当たり次第興味のあるものに申し込みました。
クライエントと条件が合えば採用。ライティングに入るという流れになります。
フリーライターの収入
私は雑誌の連載でライターとしてデビューしたのですが、紙媒体の方が報酬は高いようです。
ただし出版不況のあおりで雑誌が売れず、この市場は縮小の一途をたどっています。
クラウドワークの報酬は1文字0.1円にしかならないものから、高報酬までバラバラです。
ネットを使って誰でもライターになれるようになりましたが、そのぶん報酬も下落したようです。
最初は関心のある案件を選んでいましたが、3000字も書いて300円にしかならないものを引き受けていてはお金になりません。
一日に書ける枚数も限られていますので、内容も重要ですが、単価の高いものを選ぶようにしました。
単価の高い案件
金融機関勤務、薬剤師、会計士など、専門的知識を必要とする案件は高額になり、漫画、アニメ、車など趣味や嗜好性が高いものは安い傾向にあります。
おこづかい稼ぎ程度であれば、好きなことを書いてみるのもいいですが、生活が懸かるとそうはいきません。
私は幸い、福祉施設の経験が長かったことと、就職や転職についての知識があるため、その案件でいくつかのクライアントと、高額な報酬で契約することができました。
フリーライターの仕事量
朝から始めようが昼から始めようが自由です。そのため自己管理が大切になります。私は目覚めてから1時間後に仕事を始めます。
6時ごろ目覚めれば7時から、10時なら11時が開始時刻です。仕事時間は単価によって異なります。
一日13000円程度が目標なので、5000円の仕事なら3本やって終了、1000円なら一日中パソコンのキーを打っていなくてはなりません。
まあ、それだけ仕事があればいいんですが、どれを見ても単価の低い仕事ばかりの時もあり、まったく何もしない日もあります。
そんなときは思い切って休暇にしています。
フリーライターのメリット・デメリット
フリーライターは気楽な半面、辛い現実もあります。そのメリットとデメリットをまとめてみました。
<メリット>
- 人間関係によるストレスがない
- パソコンさえあれば開始できる
- 働く時間を自分で決められる
- 金銭感覚が身につく
- 不必要な出費をしなくて済む。
- 悪夢を見なくなった
- 収入が不安定
- 一緒に働く仲間がいない
- 太る
人事査定も、嫌な上司も、仲の悪い同僚もいないので、人間関係によるストレスは皆無です。
ご機嫌取りなど必要がなく、原稿だけが評価の対象です。
飲食店や小売りのように、店舗を構える必要はなく、仕入れや仕込みもなし。
資金ゼロから開業できます。売れ残りや在庫を抱えなくてもいいので、ロスもありません。
就業時間がないので、時間を好きなように使えます。気晴らしにシャワーを浴びることも、映画を見に行くこともOKです。
これまで片道1時間もかけて通勤していたのですが、その時間を仕事に充てることができるので、効率もアップしました。
サラリーマン時代は、お金についてあまり考えることがありませんでしたが、1本いくらの単価で仕事をしていると、「これを買ったらあの原稿1本分だな」など考えるようになり、お金にシビアになります。
サラリーマンは、スーツやネクタイ、Yシャツのクリーニング代など、多くの出費を強いられます。ひどいところでは、文房具や名刺まで自腹なこともありました。
自宅での仕事なので高いランチを食べたり、衝動買いをしてしまうこともなくなりました。
私は社会人になってから、仕事の夢を見ない日はありませんでしたが、朝まで一度も目を覚ますことなくぐっすり眠れるようになりました。
<デメリット>
依頼や報酬がまちまちなので収入は不安定です。高い報酬をくれるクライアントと契約できれば、ある程度の収入は得られるものの永続的ではありません。
ストレスを与えられることもない限り、一緒に笑ったり悩みを共有する仲間もいません。話し相手が家族に限られるのは、慣れるまで辛いですね。
ひたすら座って文章を書いているのが仕事なので、運動不足になります。
おかげで1カ月間で3㎏も太ってしまいました。好きな時間に間食ができるのも肥満を助長します。
最後に
ずっと同じ仕事を続ける方が生涯賃金が高く転職するほど不利になります。
それは私も分っていて、転職するたびに「定年まで勤めあげよう」と思っていました。しかし毎回このザマです。
「あの時辞めていなければ今頃は...」と思うことがありますが、いろいろ考えた末に辞めたのですから、結局は今と同じにしかならないのです。職場を変えていったことは、私にとって「脱皮」です。
生きる上で避けられない新陳代謝なのです。
メリットはいっぱい出たのに、デメリットは三つしか出ませんでした。ライターは私にとって、ようやっと巡り合った適職だと思います。
目標収入まではまだまだですが、これからフリーライターとして食べていけるよう、頑張っていきたいと思います。
この記事の筆者
熊谷五郎(仮名)
一部上場企業、中小企業、国家公務員、地方公務員、私立学校教員、医療法人、社会福祉法人と多彩な(?)転職経験があり、それなりに良いことと、多くの嫌なことを経験しました。
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