アイ・アムを利用してみた(転職エージェントプロが語る)
転職エージェントは、それぞれの特長を生かし競合ひしめく転職エージェント業界で求職者の支援を行っています。
大半の転職エージェントが中小零細であることがこの転職エージェント事業の大きな特徴であり、また比較的起業しやすいです。
ただ法的に認可が必要な有料紹介事業という立場であるため、オフィスのレイアウト条件や事業責任者の選定と複雑な点もあります。
私も現在転職エージェントとして活動していますが、競合ひしめくこの業界で私も求職者として転職活動をした際に利用した転職エージェントを今回はご紹介したいと思います。
求職者の方の転職エージェントの利用目的は主に転職かと思いますが、今回の記事を参考にして情報収集の場としても活用できるため、いつか転職活動を行う際に役立てていただければと思います。
今回の記事の目次
アイ・アムってどんな転職エージェント?
冒頭、申し上げた通り、私はこれまで何度か転職活動を行ってきました。
その中で私も利用が1度だけある、アイ・アムという転職エージェントについてご紹介したいと思います。
アイ・アムは株式会社インターワークスが運営しているサービスで、転職業界ではそのまま「インターワークス」と呼ばれることが多いです。
さてアイ・アムの転職エージェントとしての特徴に関して大きなポイントに注力してお伝えします。
業界特化型の転職エージェント
IT業界や製造業界には強みを持っていて、抱える求人数の中では多くあります。
特にIT業界については、企業とのネットワークが強くあり信頼を勝ち得ている転職エージェントの一つです。
キャリアアドバイザーの質が高い
会社として、しっかりした教育体制があるため、担当するであろうキャリアアドバイザーの質も他の転職エージェントに比べると高い部類にあると思います。
転職サポートの丁寧さ
最後は、企業の選考フローで利用する履歴書や職務経歴書の添削サービスと適性検査への対策です。
適性検査の対策については理由があり、アイ・アムは他の事業で適性検査のサービスも展開しているため、ノウハウが蓄積されています。
アイ・アムを利用した当時、私はその他数社の転職エージェントを利用していますが、適性検査対策については随分お世話になっています。
もし私のように適性検査に苦手意識がある求職者の方は、このような際にアイ・アムに頼っても良いと思います。
求人数
その他として、特徴と言えるほどではないかもしれませんが、求人数です。
IT業界や製造業界だけではなく、多岐にわたる業界また多岐にわたる職種の求人を抱えているため、どのような志望にも耐えうる求人幅だと思います。
最近、増えている第2新卒向けの求人も多くあるようです。
登録から担当者決定まで
アイ・アムへの登録についてはまず、Home Page(HP)から私自身の個人情報などを入力することから始まりました。
登録すると後日比較的早い段階でアイ・アムより電話があります。
その電話では、一度詳しく面談したいため来社してほしいとあります。
なおその電話で、仮に求職者が忙しく面談の時間を割けない場合は電話インタビューも対応してくれます。
キャリアアドバイザーの決定についてはアイ・アム内で適宜決まりますが、どのような基準かと言いますと基本的には年齢と職種で振り分けられるようです。
担当となったキャリアアドバイザーを活動中に変更したい場合は対応はしてくれますが、それほど大きな転職エージェントではないため難しい場合もあるようです。
ただアイ・アムでは評判の悪いキャリアアドバイザーは聞いたことがないので恐らく変更したいという状況はないように思います。
そして転職エージェントとしてはツーフェイス型を採用しています。
求職者にキャリアアドバイザーが担当としてつくように、求人を公開する企業にも1社ごとに営業担当がつくタイプ。
役割がそれぞれ分担されているので、企業、求職者ともにきめ細かいサポートが受けられる。
この二つの連携により、企業と求職者をつなぎ、企業の採用成功と求職者の転職成功を支援しています。
もちろん、アイ・アムへ登録しても費用は発生しませんし、内定後入社に至っても求職者は紹介手数料などを支払う必要も一切ありません。
担当者決定から面談まで
アイ・アムでのキャリアアドバイザーが決まると次は面談になります。ただ面談にそのまま向かえば良いということではなく、あらかじめ準備し持参してほしい内容を指示されます。
面談前に用意し、当日持参するよう言われるものがありました。
事前に用意する書類
- 履歴書(データとペーパーの両方)
- 職務経歴書
- 履歴書用写真
ちなみに、アイ・アムでは、一部、外資系企業の求人も抱えているため外資系企業の転職を希望される方も利用しても良いと思います。
その場合、この面談前の準備で英訳版も履歴書と職務経歴書も持参した方が良いと思います。
上記の他、面談前に自己分析を行い、自分の特徴やアピールポイント、さらには転職理由と転職条件についても纏(まと)めておくよう言われます。
アイ・アムではこの面談を非常に重要視しており、実際面談内容も濃いですし細かいです。
そのため、適当な内容ではなくしっかりと万全な準備をされた方が良いでしょう。
私はアイ・アムについての評判は知っており、面談を重視することも知っていましたので、万全の準備でしたからとても有意義な面談でした。
なお面談時間は約2時間と長めになりますが、これは内容がしっかりしているためです。長い時間を投資した価値は絶対的にあるように思います。
また中には面倒という理由で、面談を軽視して電話インタビューで終わらせる求職者もいるようですが、これは控えましょう。
面談は求職者にとって、キャリアアドバイザーと接する最初の機会でコミュニケーションをしっかり図りその後の転職活動に生かせるため、ぜひ面談に行った方が良いです。
私の友人にも面談を面倒くさがり電話インタビューで終わらせた人もいますが、大体の人は転職活動がうまくいかず、結局途中で面談に行く場合が多いです。
アイ・アムのキャリアアドバイザーの質は転職エージェントの中でも上位にランクします。
私もそうでしたが、プロの視点でその求職者の転職活動をどうのように展開していくべきかをアドバイスしてくれますし、自己分析も同時に行ってくれるため、それまで自分でも把握していなかった強みや長所が知れたりします。
実際の面談内容
アイ・アムへ訪問すると面談用の個室へ通されます。
私の場合は最初はキャリアアドバイザーだけでしたが、最後は求人の紹介もあったため、社内にいたその求人の企業担当者とも面談する機会がありました。
面談に際して、まずはアイ・アムの転職支援サービスの同意書と個人情報保護の同意書にサインします。
それが終わると面談がスタートしますが、まずはキャリアアドバイザーの自己紹介でこれまでどのような求職者をどのような工夫を持って転職成功に導いたのかなども話してくれます。
次に履歴書と職務経歴書を使いながら求職者である私のプロフィール紹介となります。面接さながらに適宜指摘やアドバイスがあり、その都度修正を加えていく内容です。
アイ・アムでは、特に職務経歴書の書き方と内容はこだわりがあります。
またこの後書き類選考についてはお話しますが、書類選考には求職者にとってはマイナス的な要素があります。
それは、面接も含めた選考フローの中でもっとも数が多いということです。そのため、企業の人事担当者が書類を見る甘さもあり仮に書類が見にくかったり、読みにくければあまり内容を読まずに見送りになったりすることがあるからです。
これは求職者にとっては土俵に上がる前に勝負が決まっている相撲と同じで非常に悔しいと思います。
しかもどのような形で書類選考するかは企業が決めることで、求職者から依頼することはできませんので。
このようなことをアイ・アムでは把握済みのため、内容やフォーマットについては細かいチェックをしてくれます。
特に具体的な数値実績は、月単位、または一定期単位で詳細まで落とし込むようアドバイスがあります。
その他さまざまな質問をされましたので紹介します。
面談でのヒアリング内容
- 自分の強みと弱み
- 強みをどのように生かしたか?
- 弱みをどのように改善しようとしているか
- 現職の労働環境
- 現職からつながる転職先も含めたキャリアビジョン
- 気の合う上司と合わない上司
- 現職の入社理由と退職(希望)理由
- 転職の諸条件(会社規模、職種、勤務地、年収、労働時間などの労働環境)
この中で、特にキャリアビジョンについては短期的ではなく中長期的に、また年代ごとに設計するよう言われます。
そうすることで自然に今転職すべきか、またはどのような転職がベストか見極めることができます。
最後に求人紹介となりますが、これはまず第1段階としての要素が強く幅広めに紹介があります。
そして実際にその企業を担当する営業担当者とも会い、その求人の詳細と企業の特徴を教えてくれます。
このケースは他の転職エージェントではあまりないことで、アイ・アムの他社差別化の一つと言えると思います。
求人紹介について
アイ・アムでは先ほど申し上げた通り、面談の後半でも求人紹介があります。
転職エージェントには面談では紹介せず、全て後日という場合もありますが、少しでも早い応募によりその求人が他の求職差でクローズにならないようにという配慮からです。
中には求職者視点ではなく、少しでも早く紹介手数料が欲しいという個人業績を気にするキャリアアドバイザーもあり注意が必要です。
しかし、アイ・アムは、そもそも営業体質の転職エージェントではないですし、企業として教育体制が整備されているため、職者視点を第一に転職エージェント活動をしているようです。
この点については、面談の場で求人の紹介があっても求職者からすると安心できるのではないかと思います。
私は幅広めに、10社ほどの紹介を頂きました。
その中の求人については、やはり、アイ・アムは、IT業界、製造業界に強みがあるため大半がそれらでした。
また企業規模としては大手も1社ありましたが、その他はベンチャー企業です。
私は当時IT業界への転職は考えていませんでしたが、企業を担当する営業担当からいろいろ説明を聞いた中で労働環境に魅力のある求人がいくつかあったため、応募しています。
面談はこれで終わりになりますが、アイ・アムのもう一つの強みであるレジュメの添削サービスが機能します。
面談でチェックいただいたレジュメはアイ・アムで再度、チェックを入れてくれて作り変えた形で求職者である私にデータで戻ってきます。
他の転職エージェントでも同様のサービスはありますが、ここまでしてくれる転職エージェントはアイ・アムだけだと思います。
なおアイ・アムは、面談後については電話やメールでの連絡となります。
求人紹介については、非常に丁寧でメール添付での紹介となりますが、メールに企業の特徴などを細かく紹介されるため、求職者からするとその企業に応募するかどうかの判断材料が増えるようになります。
応募企業の選定と決定まで
面談で紹介してもらった求人はその場で応募手続きはせず、一度持ち帰り再度、検討する仕組みです。
私も自宅に帰り、再度確認しましたが、結果的に4社応募しています。
応募手続き依頼はメールで担当のキャリアアドバイザーへ連絡するのですが、応募意思を伝えるにあたり、アイ・アムでは求職者に対して、なぜ応募したいのか、志望動機とはまた違った形の内容を求められます。
かなり書類選考通過率を上げるため、工夫をしている印象があります。
仮に、なぜ応募したいのかの内容が甘い場合は差し戻しとなり応募までいきませんのでご注意ください。
この背景には、求職者を未然にフォローする意味あるとのことです。
と言うのは、転職活動をした方はご存じかもしれませんが、書類選考の通過率はどの転職エージェントでも課題とされなかなか解決できないレベルの低さです。
それはアイ・アムでも同様のことで、解決できていないということは、それだけ求職者は書類選考結果を知り落胆することになります。
無駄に応募数を増やして見送りになる企業を増やし、求職者のメンタルが崩壊することを防ぐためにこのように応募に関して事前にハードルを上げています。
中には応募は自由なのだから、好きにさせてほしいと感じる方もいるでしょうが、書類選考通過はそこまで甘くないのでアイ・アムの施策は正しいものと私は思います。
狭き門の書類選考通過率
先ほど申し上げた通り、どの転職エージェントでも書類選考通過率は非常に低く選考フローの中でも抜群に低いです。
これには企業側の書類選考フローにも問題があるのですが、そこは求職者がどうこうできる訳ではありませんので、その企業のあまいチェックフローの網にかからないよう事前にしっかり準備することが得策と言えるでしょう。
書類選考で落ちまくり、中には途中で転職活動を諦める人がいるぐらいの狭き門です。
さらにその後は、苦手とする求職者が多い適性検査まであります。
補足情報ですが、なぜここまで書類選考の通過率が低いか紹介します。
企業は、書類選考が通過すると求職者一人ずつ面接をします。
面接時間は一人に対して1時間程度。
面接は企業からしても工数が重いため、書類選考でかなり厳選しているのです。
そのため企業からすると、選考フローのうちもっとも工数がかからない書類選考で振るいにかけます。
私は、これらの背景を知っていたこともあり、また、アイ・アムからの良質なサービスのおかげでアイ・アム経由の書類選考は、4社中3社が書類選考を通過しています。
なおアイ・アム経由で応募される方は、一度、書類選考で見送りになっても諦める必要はまだありません。
つまりアイ・アムでは企業に対して、一度書類選考段階で見送りになっても再度、応募可能で通過するケースもあるためです。
私の友人はアイ・アム経由で、再チャレンジで書類選考を通過しています。
アイ・アムは企業に対しても採用成功を支援するため、書類選考に甘さがなかったか確認するようにしているのです。
企業へその甘さを気付かせるために、アイ・アムの営業担当は、書類選考結果の理由を細かくチェックして再チャレンジを依頼しています。
選考から内定を勝ち得るまで
書類選考が通過すると次は適性検査か面接です。
ちなみに書類選考の次の適性検査が、通過率としては低いです。
理由は企業の採用に関する適性検査は、自社開発ということはほぼありません。
つまり、適性検査をサービスとしている業者から利用する費用を請求されるのです。
適性検査は従量課金ですので、適性検査の回数が増えれば増えるだけ支払額は高くなり採用コストも上がるのです。
このため、書類選考レベルではないですが適性検査についても同様に進める対象は絞られます。
アイ・アムは、自社も適性検査のサービスを展開しておりノウハウはありますし、中には適性検査を導入してもらっている企業から求人を受注することも多くあります。
という事は、仮にアイ・アム開発の適性検査を導入している企業の選考を受けて適性検査まで進むと、必然的にアイ・アムはどのような問題か予測できるのです。
ただ、どの問題が出るかまではさすがに把握できないため見送りになることもありますが、平均に比べると通過率は高いですしアイ・アム開発の適性検査を導入している企業の適性検査通過率はもっと高いようです。
アイ・アム開発の適性検査を導入していなくとも、適性検査のノウハウは蓄積されており対策サービスも充実しています。
内定の入社条件の調整
アイ・アムから応募した4社のうち、私は最終的に2社の内定を頂いています。
面接段階でもアイ・アムのキャリアアドバイザーは非常に的確なアドバイスをくれますし、また都度企業担当の方も電話対応していただけます。
それとアイ・アムは、同じ企業へ複数の求職者を推薦しますが、その企業の質問事項を把握して後の求職者の面接に備える目的もあり、面接後の電話連絡は義務化されています。
内定が出た2社については面接を経てもあまり志望度は上がることはなかったのですが、自分の経験を積みたいと考えて、辞退はギリギリまでせずにアイ・アムへそれぞれの条件交渉をしてもらいました。
アイ・アムの条件交渉は、すごくスマートな印象です。
あまり企業に対しても条件を高めるようなことは行わず、求人内容通りの条件で着地することが大半だそうです。
求職者が転職エージェントを利用する目的に、条件交渉を代理で行ってくれて、さらには、条件を高めてくれるため、利用する求職者もいるでしょうが、転職エージェントの全てがそうではありません。
転職エージェントには、お客さまが二つあります。
一つはもちろん求職者で、もう一つは採用する側の企業です。
そのためどちらか一方の視点のみを持っていると仲介者としてのバランスが崩れて、良い支援をすることができなくなります。
例えば今回の場合、求職者のために条件を高めるよう無理な交渉をしても、その後企業から求人の発注がなければ、その分アイ・アムからすると求職者に紹介できる求人が減ります。
結果的には求職者も選択肢が狭くなり、デメリットになります。
それを未然に防止するため、また両者と良好な関係を継続するために、アイ・アムでは企業に対して無理な押し込みはしないのです。
アイ・アムの姿勢が分かるため、交渉の結果、条件が高くならなくても私は納得できました。
内定後、また、内定辞退について
内定を頂いた2社の条件がそろい、一通りアイ・アムのサービスを経験することができたこともあり、また他の転職エージェント経由の内定先へ入社する準備をしていたため、その後すぐに辞退連絡しています。
アイ・アムは、企業に対して無理な押し込みはしないとお話しましたが求職者に対しても同様です。
これは先述の通り、お客さまは二つというバランスを考えているためです。ですので私が内定辞退しても特に無理な営業などはなかったです。
私の担当したキャリアアドバイザーが特別ということはなく、私の友人や知り合いもアイ・アムを利用していて、内定をもらった上で、辞退した人もおります。
その全員が、アイ・アムから無理な押し込みを受けていませんので、どのキャリアアドバイザーが担当になっても、無理なことはしないと思います。
アイ・アムは優良な転職エージェントです
アイ・アムを利用して、私は2社の内定を頂きましたが、結果論ではなくアイ・アムを利用したプロセス、いわゆる、転職支援サービスは非常に充実しています。
面談から始まり、レジュメ添削サービス、応募者の落胆を未然に防ぐための応募手続き、さらには適性検査や面接フォローその全てに質の高さを感じます。
どの求職者にも平等に同じサービスを提供しているように私は印象としてあります。
また企業の人事担当にもアイ・アムは評判が良く、都度、求人が入ってきますので求職者にとってもありがたい話だと思います。
ただ一点だけ言うならば、IT業界でかつベンチャー企業の求人が多いため、もしかすると不向きな求職者も中にはいると思います。
ただそれでも添削サービスやその他の付加価値が多くあるため、登録して良い転職エージェントだと思います。
また大手ほどの求人数は持ち合わせていないため、大手転職エージェントとアイ・アムの併用が望ましいです。
それでは最後になりますが、皆さんの転職活動の成功を祈り、今回はこのあたりで終わりにしようと思います。
この記事の筆者
小玉 崇(仮名)
1975年生まれの40歳。人材業界にて転職者の支援に一貫して従事。転職者に常に寄り添う事をモットーに、転職後のフォローも行いながら、これまで数百名の転職者を支援。特にIT業界やベンチャー企業へのパイプが強みとしながら、現在も初心を忘れず人材業界で日々、精進中。人材業界は経済の波に左右されやすい業界であるため、先を見ながら転職者のエージェント活動を行っている。