プレアデスを利用してみた(転職エージェントプロが語る)
私はこれまで3度の転職を経験しているのですが、3度目の転職は非常に苦戦して厳しかった印象を今でも強く持っています。
人は苦戦すると、色々なことに手を出して悪循環を繰り返すことがありますが、当時の私はまさにその典型です。
今回の記事の目次
当時の私の追い込まれ具合
当時、30代だった私は複数の転職エージェントを利用していました。
しかも尋常ではない数です。
それでも転職活動がうまくいかず、現職への退職意向は伝えてしまい、後がない状況でした。
年齢が上がれば上がるだけ不利で、30代になるとどの転職エージェントでもキャリアダウンにしかならない求人ばかりでした。
生きることを優先して、明らかにミスマッチな未経験・第2新卒の求人にも応募したのですが、その企業は私に生きる選択すら与えてくれませんでした(笑)
そんな中、探しに探しまくって今回紹介するプレアデスを見つけるのです。
プレアデスって、どんな転職エージェント?
プレアデスとの出会い
私は長年人事を担当しており、転職エージェントとはそれなりに関わりがありました。
そこで、まだ登録してない転職エージェントはないかと自分が持っている名刺を片っ端から探しました。
そして、今回ご紹介するプレアデスの営業担当の名刺を見つけたのです。
プレアデスと聞いても知らないという人が大半だと思います。
私も打ち合わせしたことがあるにも関わらず記憶にありませんでした。
プレアデスのイメージは悪かった
プレアデスは東京に本社を構える小さな転職エージェントです。
拠点は東京のみで、従業員も数人規模です。
当時、飛び込み営業やテレアポが何度もしつこかったため、仕方なくプレアデスの営業担当と会ったのです。
営業では優秀な人材が何人もいるとのことだったので、打ち合わせでレジュメを見せてもらいました。
そこでプレアデスの営業担当は、求職者から同意も取らずレジュメをフルオープンで見せてきたのです。
通常、転職エージェントは個人情報の兼ね合いで求職者の氏名など個人を特定できる部分はマスキングすることが当たり前です。
これを見た瞬間に、この転職エージェントは危険で取引できないなと思いました。
他社で人事をしている私の友人は一度プレアデスと契約したようですが、的外れな人材を100名以上も紹介されたそうです。
事務処理が煩雑になり取引を辞めたそうですが、その後他のポジションの求人をプレアデスへ発注すると、前に紹介された100名とほぼ同じ人材が紹介されたそうです(笑)
それでも登録に踏み切る
このような経緯を知っていながらも、追い込まれていた私はプレアデスへ登録しました(汗)
後日、面談に向かう社内で当時の営業担当と遭遇して気まずかったです。
思わず、私だと分からないように顔を下に向けました(笑)
しかし、気付かなかったのか私を忘れていたのか分かりませんが、特にあいさつなく素通りです。
そう、プレアデスは登録面談に来た求職者へのあいさつもないのです。
『当時の営業の売り込みは、単に利益ほしさだけだったんだな』と、あらためて不安に思いました。
案内された面談場所はブースでした。個室ではないのです。
国からの認可としてはブースでも問題ないのですが、面談は個人情報が飛び交うためブースは不向きです。
面談が始まって少しすると『声が小さいですね。それだと面接で良い印象はないですよ?』と言われました。
私は個人情報を社内の人に聞かれたくなかったのです。
やっぱりこの転職エージェントはまずいと思いましたが、求人にたどり着くまでは我慢だと思って面談を続けました。
不安は募る一方… ただ光も?
後半では私の希望条件を聞く場面があり、希望条件を伝えました。
すると、「今はないですけど、うちの会社で営業してくるので行きたい会社を具体的に教えてもらえますか?」と言われたのです。
「さすが営業会社の転職エージェント。そんなことまでしてくれるのか」と前向きに思い、いくつか会社名を伝えました。
キャリアアドバイザーはしっかりとメモをして、さっそく明日から営業開始しますと力強く言ってくれたのです。
そして、面談の最後では1社だけ求人を紹介されました。
希望からは若干ズレていまいたが、大きく外れている求人ではなかったため応募依頼しました。
当時は焦り過ぎて求人の詳細まで見ていなかったのですが、その求人はブラック企業でした。
人事の中では評判で、どの転職エージェントも求人の受注を控える企業です。
しかし、プレアデスは『この求人は弊社の独占求人ですから、内定確度も高いです』と自慢げに話してきました。
私はこのことを既に知っていたにも関わらず、追い込まれていて正常な判断ができていませんでした。
プレアデスの営業力
プレアデスは完全な営業会社です。
新規求人の獲得のために、飛び込み営業やテレアポは当たり前で、個人に与えられたノルマは非常にきついです。
離職率も相当なものだと聞いています。
それをプレアデスは「当社は実力主義で本当に実力のある人間だけが残る環境ですから、担当するキャリアアドバイザーは全て優秀です」と。
そんな中、世間は狭いもので「プレアデスが営業で私のレジュメをフルオープンで公開している」と耳にしたのです。
私の知人が転職して、私の入社したい企業の担当者をしていたのです…
この情報をキャリアアドバイザーへ伝えたところ、「転職したいのであれば、ある程度の犠牲は付き物だ」と正論かのように切り返してきました。
情報漏えいは法律違反ですので、この対応はまずいと思いました。
普通ならばこの段階で登録解除するでしょうが、何度も言うように当時私は追い込まれていました。
「今後営業するのであれば、レジュメにマスキングしてくれれば大丈夫です」と、海のように心が広い対応をしたのです(笑)
結局、私が伝えた企業の中から一社も求人を獲得することはできていませんでしたが、当たり前のことかもしれませんね。
プレアデスからの求人紹介
プレアデスが抱える求人には独占のものもありますが、それらは他の転職エージェントが受注を控えるブラック企業の求人が多いです。
通常は与信などで事前に求職者に紹介するに値する企業かを調べるのですが、プレアデスはあまりしないようです。
プレアデス自体の労働環境が良くないので、そういった感覚がまひしているのだと思います。
私は追い込まれていて判断がつかなかった時もありましたが、後半は他社のエージェントを介して順調に進んでいました。
プレアデスに紹介されるブラック企業の求人に関して「求人にある所定労働時間が明らかに法定労働時間を超えていますよね?」と聞いたところ、
「ベンチャー企業で成長企業なら当たり前ですよ?」と言ってきました。
このあたりからも、プレアデスの求人選択の感覚が他の転職エージェントとは違うことが分かると思います。
プレアデスの企業への紹介手法
冒頭でプレアデスはある企業に100名ほどの求職者を一気に紹介したことは伝えたと思います。
私が求職者としてプレアデスを利用していた時も同じことがありました。
しばらく求人の紹介がなかったのですが、ある日突然「いくつか求人を紹介したので、必ず見て応募してください」とメールで言われました。
これは求職者全員に同じ求人を送っているのでしょう。
数を打てばいつか当たるだろう精神で一気に人材を紹介するのです。
その時はまだ冷静な判断ができず、大量紹介の1人として応募手続きに進みました(汗)
その結果、実は1社の内定をいただいたのです。
プレアデス経由の選考基準について
プレアデスからの紹介求人の選考は非常に難易度が低いです。
求人自体が根性を売りにする内容ですので、書類選考も甘く適性検査がない場合がほとんどです。
面接も1回、多くて2回がほとんどです。
選考難易度だけを見ればありがたいものだと思います。
しかし入社後が大変ですので、無職期間が長くなりそうな方以外は応募を控えた方が良いです。
私が受けた企業の選考は非常に淡泊で、面接時間は長くて30分ぐらいでした。
しかも、最終面接でも役員クラスの面接官は登場しません。
選考中のプレアデスは、何のフォローもありませんし、事前に面接内容の共有もありません。
そのため、面接後の連絡も特に必要ありません。
内定辞退は難しい
プレアデスから内定を1社いただいたのですが、この後が大変です。
辞退しようと思い連絡したのですが、一切辞退は受け付けないとはね返されました。
「正当な理由でなければ、その間の費用は負担してほしい」と意味の分からないことを言われます。
なお、転職エージェントは国が認める人材紹介事業者で、全ての工程で求職者から費用を徴収しない規定があります。
ですから、今回のプレアデスの内定辞退した場合の費用負担請求は違法です。
このような違法行為をすると免許がはく奪されるため、現実的にこのようなことは行わないと思いますが、あらゆる手段を講じて求職者の辞退防止を図っているのでしょう。
プレアデスは入社の説得をしようと私の自宅まで来たりもしました。
夜遅くに来る場合が多かったので、女性の場合は危ないかもしれません。
また、プレアデスは辞退防止を目的に内定企業との懇親会もセットしようとします。
他の転職エージェントでは、求職者が悩んでいる時の判断材料として提案することが普通ですがプレアデスは違います。
この懇親会は参加しない方が良いです。
後々、懇親会費用も負担してほしいと言われる恐れがありますから。
プレアデスの経験を生かして
これから転職活動をしようとしている方は、追い込まれた状況下で転職活動をしないでほしいです。
転職エージェントの登録基準や求人判断がブレます。
最悪は入社して早期退職につながり、また転職活動を行うことになる結末になります。
プレアデスの全てがまずいとは言いませんが、他の転職エージェントと比較すると明らかに体質が違います。
また、プレアデスというよりも営業体質の転職エージェントに登録するのはお勧めできません。
今のプレアデスはどのように変化したのか分かりませんが、当時の私が利用した経験としては良い経験はあまりなかったです。
フォローするつもりはないですが、プレアデスは意図的にこのような転職支援や求人紹介をしているというよりも、営業体質で感覚がまひしているのだと思います。
現在、私は転職エージェントとして活動していてプレアデスの評判は良くも悪くも全く聞きませんが、今もまだ事業継続しているようです。
転職エージェントを利用することで、企業、転職エージェント、そして何より求職者の3者がハッピーでなければいけないのに、プレアデスにはこの視点が足りないように感じます。
最後になりますが、転職エージェントや求人の内容を見極め、追い込まれてない状況で最高の転職成功ができることを祈り、今回は終わりにしたいと思います。
この記事の筆者
小玉 崇(仮名)
1975年生まれの40歳。
人材業界にて転職者の支援に一貫して従事。
転職者に常に寄り添う事をモットーに、転職後のフォローも行いながら、これまで数百名の転職者を支援。
特にIT業界やベンチャー企業へのパイプが強みとしながら、現在も初心を忘れず人材業界で日々、精進中。
人材業界は経済の波に左右されやすい業界であるため、先を見ながら転職者のエージェント活動を行っている。