レイノスを利用してみた(転職エージェントプロが語る)

突然ですが、皆さんはある日いきなり、会社に個人名で電話があったことはありませんか?

私は30代前半のときにそういったことがありました。

普通の企業間取引の場合は会社名を名乗ってから個人名を名乗るのですが、その時は違いました。

その電話に出ると、その個人を名乗る人から

『私はヘッドハンティングの仕事をしているのですが、その件で話がしたいです。今は周りに同僚の方もいると思いますので、携帯番号を教えていただければ都合の良い時間にお電話します。』

とありました。

怪しい感じはありませんでしたし、ちょうど転職活動をしていた時期でしたので、とりあえず携帯番号と連絡時間帯を伝えてみました。

その後あらためて携帯に電話があり、結局この話は流れたのですが、その方が在籍する会社は転職エージェントとしても事業展開していたため、そのまま登録して利用することにしました。

レイノスって、どんな転職エージェント?

当時、私がヘッドハンティングを受けた転職エージェントはレイノスという会社です。

会社としての歴史は古いのですが、転職エージェントとしては後発です。

本社は東京にあり、従業員数も結構いました。

私の友人がレイノスで働いていたことがあり事情もかなり知っているので、このあたりの特徴もご紹介します。

ヘッドハンティングと転職エージェントの連動

レイノスでは、ヘッドハンティングと転職エージェントが変わった意味で連動しています。

表向きにはヘッドハンティングとして求職者の気持ちを高めてから、転職エージェントへの登録に誘導するというパターンです。

私の場合もこれが目的だったのかもしれませんね。

レイノスは昔は業績好調でしたが、現在の業績はあまりよくありません。

そのため企業へ紹介できる登録者の数が少なく、求人受注に苦戦しているのです。

営業体質の企業

レイノスは会社全体として、かなりの軍隊式営業体質の転職エージェントです。

耳にしたことがあるかもしれない、内定企業への無理な押し込みももちろんあります。

無理な押し込みは、断り切れることが多いのですが、レイノスの場合は巧みに求職者を誘導して入社へ持ち込みます。

私の友人が言っていましたが、入社してから6カ月ぐらいは業務が終わると毎晩先輩や同僚とロープレがあるのだそうです。

余談ですが、レイノスでは朝礼はもちろんのこと、会社への忠誠心のような意味で社章の装着が義務付けられています。

また、本社はガラス張りの仕様になっていて、来客があると社内にいる全員が席を立ってあいさつするのです。

この状態は結構、異質です。

私は、かつて人事を担当していた頃にヘッドハンティング系の案件で訪問して実際に経験しています。

求人の数

一時期はヘッドハンティングと言えばレイノスというくらいの地位を持っていたので、企業との取引実績は多く、求人は多く発注してもらえる状況にあります。

求人には、経験が多い30代前半からそれ以上の年齢層の求人が多く、第2新卒や未経験職種などの若年層の求人が少ないといった特徴があります。

また、営業体質として親和性の高い不動産業界とのネットワークが強く、不動産系の求人も多いです。

キャリアアドバイザーの質

キャリアアドバイザーの質は、正直あまり良いとは言えません。

ただ、キャリアアドバイザーとして転職に関わった経験は豊富ですし、求職者から質問すると全てに対して必ず答えを持っているので、そういう意味では頼れると思います。

登録から担当者決定まで

私の場合はヘッドハンティングからそのまま転職エージェントに登録しましたが、通常はレイノスのホームページからの手続きで問題ありません。

キャリアアドバイザーの変更は実際にはできますが、できないことが多いとお考えください。

キャリアアドバイザーそれぞれに営業ノルマがあるため、なかなか担当を外れようとしないのです。

レベルの高い話術で、大体は変更しないという流れになります。

担当者決定から面談まで

キャリアアドバイザーが決まると次は面談になります。

私はヘッドハンティングの際に情報を共有していましたが、転職エージェントを利用する際は再び面談をセットされます。

当時は現職中でしたし、そんなに深い話にはならないと思ったため現職の近くまで来てもらえませんか?と打診したところ、快くOKしてくれました。

私の場合は面談までに特別な準備は必要ありませんでしたが、通常は下記のものを用意するよう言われます。

  • 履歴書(データとペーパーの両方)
  • 職務経歴書
  • 履歴書用写真

レイノスは外資系企業の求人も意外と多く抱えているので、それに期待する方は英訳版の資料を用意するよう依頼があります。

また、転職理由や転職条件などもヒアリングされますので、整理しておくと良いでしょう。

レイノスは個人業績が厳しく、いかに求職者の質を高めて転職成功させるかを常に考えているため、ヒアリングはとても細かく数字的な実績も具体的に聞かれます

求職者視点ではありませんが、「とにかく求人を紹介してくれて内定をもらえば十分」という方にはお勧めかもしれません。

実際の面談、そして求人紹介!?

私の場合は希望条件を細かく訊かれ、その場で求人の紹介もありました。

面談前に希望条件のヒアリングはされていませんでしたが、なぜ求人の紹介ができるのか不思議に思いませんか?

レイノスでは、ヘッドハンティングから転職エージェントに登録した求職者には、希望条件よりもあらかじめ「合いそう」な求人を選んでくれるのです。

そのため、希望条件から外れている求人も数多く紹介されました。

いずれも年収が高く、得意の不動産業界の求人もありました。

年収は高ければ高いだけ転職エージェントに入ってくる紹介手数料が高くなるので、営業体質のレイノスには強みがあるのです。

私は30社ほどの求人の紹介を受け、そのうち応募した企業は2社です。
これはかなりひどいです。

レイノスは経験や知識は豊富であるため、アドバイスは的確ですが、条件に合致しない求人もその場で複数紹介されます。

なので、断るところはしっかりと断らなければ、その後もレイノス本位にされる可能性があるそうです。

面談後の求人紹介

面談で多くの求人を紹介されても2社だけの応募手続きでしたので、転職条件を伝えた後に再度紹介してほしいと伝えました。

しかし、結果的にはほとんど紹介はありませんでした。

私が登録した時代のレイノスはまさに過渡期で、求人数が少なかったのです。

そんな中でも私が希望する条件の求人が2社ほど紹介があり、追加で応募しています。

現在は当時ほどではなく、ある程度満足いく求人数は確保しているようです。

応募企業の選定と決定まで

合計4社の求人に対して応募手続きを進めたのですが、レイノスのキャリアアドバイザーはレジュメの添削などはしてくれません。

レイノスのキャリアアドバイザーは労働時間が長く、夜遅くからのロープレがあるため、時間や手間のかかる添削まで手が回らないのです。

もし、添削サービスを受けたい方は他の転職エージェントに同時登録した方が無難だと思います。

レイノスの面談後の応募手続きや面接調整などの連絡方法はメールが中心になります。

レイノスでの書類選考通過率

レイノスの書類選考通過率は、その営業担当とキャリアアドバイザーのノルマ意識の高さで随分変わります

意識の高い場合は当然に書類選考通過率が高いですし、逆はとんでもなく低いです。

私の場合は運よく意識の高い営業担当とキャリアアドバイザーでしたので、見事に4社全てが通過しました。

営業体質の転職エージェントは、無理な押し込みがあるなどのリスクもありますが、こういったメリットも生まれます。

選考から内定を勝ち得るまで

書類選考で通過した全ての企業に面接前の適性検査があったのですが、ここでは運がありませんでした。

レイノスでは適性検査の支援がなく、打診しても力になってくれることは少ないです。

レイノスで勤務していた友人は「営業体質の会社はどうしても体育会系になりやすく、学生時代に勉強していない人間ばかりなので、検査の対策はまず苦手」と言っていました。

適正検査が苦手な求職者よりも、レイノスのキャリアアドバイザーの方が苦手かもしれないのです。

私は他の転職エージェントの適性検査対策を利用して、4社のうち2社は面接フェーズまで進むことができました。

その後の面接でも、対策などはしてくれません。

レイノスは、とにかく個人の業績のことしか考えていないように感じました。

転職エージェントには、

  • 企業
  • 転職エージェント自身
  • 求職者

の三つの視点がありますが、レイノスは転職エージェント視点が異常に強いです。

営業数字へのこだわりは半端ではありません。

内定後の入社条件の調整

2社の面接にそれぞれ進んだ結果、レイノスの強烈な営業力により、2社ともに内定をいただきました。

私がレイノスの営業力のおかげと伝えた理由は、この2社とも、希望条件には入っていましたが、もとより、志望群の中では低い方で、面接にもあまり頑張ってないためです。

しかし、レイノスは自分のノルマ達成が掛かっているため、かなり必死に企業へ後押ししたのだと思います。

私がなぜ、レイノスが企業に後押ししたと言えるかですが、私は企業の人事担当として、中途採用にも関わり、その際、レイノスとも取引がありました。

その経験の中に、レイノスからの紹介の求職者もいて、私は、企業の当事者として、レイノスの強烈な営業を経験しているのです。

書類選考から面接、特に面接後半の営業ラッシュはすごいです。

『今回、ここで内定が出ないと、私は死活問題です』

と土下座されたこともあるぐらいです。

内定後、また、内定辞退について

レイノスの怖さは内定が出てからが本番です。

レイノスからは2社の内定がありましたが、年収が高い内定先への入社を勧めてきます。

年収の低い1社は辞退しても特に何もありませんでしたが、残った1社はかなり手ごわかったです。

レイノスの営業力は本当に強力で押し潰されそうになったのですが、レイノスで勤務していた友人が助けてくれました。

「友人だから、辞退防止の営業はするな」と言ってくれたのです。

当時、その友人は既に退職していましたが、レイノスは退職していようが在籍していようが目上の人には絶対のようです。

レイノスの営業力を武器に選考通過を!

営業体質の転職エージェントは求職者からすると障害になることもありますが、武器にもなります。

特に書類選考や面接という場面では、企業への営業がすごいので通過する率が上がると思います。

ただ、レイノスだけを利用するといろいろな意味でリスクが大きいため、他の転職エージェントと同時に利用するのが得策だと思います。

最後になりますが、皆さんの転職成功が実現することを期待して今回は、これで終わりにしようと思います。

※なお、この記事は私がスカウトサービスを利用した際の体験です。現在とはまた違いますので、その点ご理解ください。

この記事の筆者

小玉 崇(仮名)
1975年生まれの40歳。

人材業界にて転職者の支援に一貫して従事。

転職者に常に寄り添う事をモットーに、転職後のフォローも行いながら、これまで数百名の転職者を支援。

特にIT業界やベンチャー企業へのパイプが強みとしながら、現在も初心を忘れず人材業界で日々、精進中。

人材業界は経済の波に左右されやすい業界であるため、先を見ながら転職者のエージェント活動を行っている。

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